「がん遺伝子パネル検査」段階的受け入れへ 沖縄県がん診療連携協議会が初開催


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 県内のがん治療の向上を目的に2020年度第1回「県がん診療連携協議会」が8日開かれた。新型コロナウイルス感染症対策としてウェブ会議で開催した。3月から琉球大学病院で始まった「がん遺伝子パネル検査」について、検査条件に合致しない患者からの相談が相次いでいるとし、患者の集中を防ぐために段階的に受け入れる態勢とすることを決めた。がん患者の生殖機能の温存療法については、担当医で説明や連携にばらつきが見られるとして、共通の資料を用いて患者に十分な説明を行うことを確認した。
 多くの遺伝子を一度に調べ、患者に合った治療法を探るための「遺伝子パネル検査」は、標準治療がない、または終了した患者で、薬物療法が可能であることなどが条件。ただ実際は、検査への過度な期待も含め「条件を満たさない患者の紹介がかなり含まれ、受け入れ可能数を超えている状況」(琉大病院担当者)という。
 協議会では患者の集中を防ぐため、7月に地域がん診療連携拠点病院(県立中部病院・那覇市立病院)、8月にがん診療病院(北部地区医師会病院・県立宮古病院・県立八重山病院)、10月に県選定の専門医療機関、11月に全ての医療機関から段階的に紹介を受け入れていくこととした。急を要する場合は、琉大病院と直接調整する。
 がん患者の生殖機能の温存療法について、本人への説明や関係医療機関の連携が不十分な例が見られるとして、県内の六つの拠点病院の対象患者全てに生殖医療についての説明を共通資料を用いて行うことも確認した。対象患者は男性は全員、女性は0~50歳とした。