牛飼料をボリビアから直輸入 県系人の絆生かす 輸送費は4割減


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 石垣牛の一貫生産から加工、販売まで手掛けるゆいまーる牧場(石垣市)は4月から、南米ボリビアにある県系人移住地「コロニア・オキナワ」から牛の飼料として大豆の輸入を始めた。産地から直接輸入することで手数料がかからず、これまでの運送費と比べ40%のコストカットにつながる。同社の金城利憲取締役は「『オキナワ』から『沖縄』へ。地産地消で海外との交流を活発にしたい」と話した。

ボリビアから届いた飼料用大豆を受け取るゆいまーる牧場の金城利憲取締役(左)=4月30日、那覇市の那覇新港(金城利憲氏提供)

 地球の反対側まで海を渡ったウチナーンチュたちが切り開いたコロニア・オキナワ。壮大な畑が広がるその地は、大豆や小麦の産地としても知られる。

 ゆいまーる牧場はこれまで外国産の大豆を、県外の商社を通して輸入していた。県外の港に何度も立ち寄ることから手数料がかかり、1トン当たり2万円の費用を要した。

 だが、コロニア・オキナワから那覇を経由して石垣島まで直接運ぶことで、コスト削減につながった。

 同社は県出身の島袋正克氏がボリビアで立ち上げた貿易会社「伊島」から大豆を輸入する。当面は月に1回、18~20トンを輸入する考えだ。金城取締役は「定期的に輸入し、石垣の農家を巻き込みたい」と語る。

 繁殖牛(子牛)生産の一大産地である石垣島は、牧草を育てる環境がよく、子牛の生産に適している。ただ、肉用牛(成牛)の肥育には牧草以外に大豆やトウモロコシなどの穀物が必要になる。離島県である沖縄は輸送料など飼料調達にコストがかかることから、肉用牛の肥育には不利な側面がある。

 金城取締役は「子牛だけでなく、食卓に並ぶ肉用牛の生産を県内で増やしたい。沖縄のブランド牛を作りたい」と話す。県内で肉用牛農家を増やすためにも、物流のハンディを乗り越える必要を強調する。

 金城取締役は「沖縄はアジアの玄関口で物流が広がる可能性がある。国にも制度的な面で支援してほしい」と話した。