「タイガーマスク」が現る 子どもたちへの支援に3万5千円 差出人は「伊達直人」


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「伊達直人」と書かれた封筒の差出人に感謝する(右から)新垣健さん、洲鎌隆太さん、勝連巧さん=8日、那覇市久茂地の居酒屋「炎」

 那覇市久茂地の居酒屋「炎」で6日、漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」名が書かれた封筒が扉に挟まっているのが見つかった。中には現金3万5千円が入っていた。同店は子どもたちに無償で弁当を配る「Okinawa美(ちゅ)ら顔(がお)プロジェクト」に取り組んでおり、封筒も同プロジェクト宛てになっていた。「炎」を経営する新垣健(たけし)さん(45)は「最初はお礼状か苦情だと思った。素直にうれしい。今後の活動に使いたい」と感謝した。

 プロジェクトは4月20日から始め、新垣さんのほか、同市久茂地で居酒屋「おりがみ」を経営する友人の洲鎌隆太さん(45)、勝連巧さん(46)らが取り組む。新型コロナウイルスの影響で、経営する店は3月末から営業を自粛しているが、「どうせ赤字になるなら、子どもを明るい気持ちにしたい」(新垣さん)と活動に力を入れてきた。

 那覇市内の学校周辺などで無償の弁当とオリジナルの「宿題プリント」を配布し、家庭学習の機会もつくった。

 休校中の子どもたちへの昼食を支援する「おきなわこども未来ランチサポート」も活用し、飲料や菓子なども配ってきた。

 2010年に「伊達直人」を名乗る人物から群馬県の児童養護施設にランドセルが届けられたことをきっかけに全国にこうした動きが広がった「タイガーマスク現象」。しかし、3人は「寄付者に全く心当たりがない」と口をそろえる。洲鎌さんは「伊達直人さんにお礼を伝えたい。預かったお金で子どもや家庭支援をして恩返ししたい」と語った。

 10日は「炎」の店の前で弁当を配布する。

(大橋弘基)