イカスミ汁で笑顔を拡散 〝お歯黒姿〟がインスタ映え 糸満漁民食堂が投稿


社会
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糸満漁民食堂のイカスミ汁を食べて、黒く染まった歯を見せ笑う垣花咲さん=4月、那覇市小禄

 【糸満】イカスミ汁で笑顔をつなごう! 糸満市にある糸満漁民食堂が「#イカスミ汁で笑顔つなぐ おうちdeごはん応援プロジェクト」に取り組んでいる。「多くのウチナーンチュが子どもの頃、イカスミ汁を飲んで真っ黒になった歯を見せて、笑いを誘ったことがあるはずだ」と話すのはオーナーの玉城弘康さん(42)。テークアウトのイカスミ汁を自宅で味わいながら、にーっと歯を見せて笑う笑顔をインスタグラムに投稿して拡散し、「コロナによる暗い気持ちを吹き飛ばそう」と呼び掛けている。

 3月29日、人気タレントの志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎のため死去した。玉城さんは追悼番組を見て、代表的キャラクター「バカ殿様」や「変なおじさん」を見ながら涙を流した。途中、志村さんが歯を真っ黒に塗った“お歯黒”を見て大笑いした。「郷土料理、イカスミ汁でお歯黒をやったことがある」と思い出した。

 「イカスミ汁は昔から、産後女性の回復に飲ませるなど『ぬちぐすい(命の薬)』と言われてきた。子どもの頃はそんなことは知らず、ただ真っ黒になった歯を見せて笑い合った。とにかく笑顔を拡散させたい」。玉城さんはテークアウトメニューにイカスミ汁を加え「#イカスミ汁で笑顔」と添えて投稿し、閲覧者に笑顔を届ける取り組みを始めた。

 4月末、糸満市から離れた那覇市小禄で垣花咲さん(7)=宇栄原小2年=が初めてイカスミ汁を口にした。「ねえ、黒くなった?」。歯を見せながら、味よりも歯が染まったかどうかを気にする娘に、自然と家族に笑顔が広がった。

 糸満漁民食堂は現在、テークアウトと時短営業を続けている。イカスミ汁は千円(税別)。ハーフサイズは500円(税別)。問い合わせは(電話)098(992)7277まで。