汚染に負けず桜で彩りを 泡消火剤流出の宜野湾・宇地泊川 地域住民が清掃


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 【宜野湾】米軍普天間飛行場から有害性が指摘される有機フッ素化合物PFASを含む泡消火剤が流出し、10日で1カ月がたった。大量の泡が滞留した沖縄県宜野湾市の宇地泊川(比屋良川)沿いで15年間、清掃活動や桜の植樹などを続ける地域住民ボランティア「おきなわ花を咲かせる会・河川愛護会」が同日、川の周辺で草刈りをした。会員は事故に憤り環境への影響を憂いつつ、桜などの木々が汚染に負けず川を彩ることを願う。

 泡が川に飛散した4月11日朝、亀川富男副会長(73)は空中を漂うビニール袋の様な白い泡に驚いた。宜野湾市消防が午前中から対応に追われる一方、午後に現れた米軍は泡を回収せず引き上げた。米軍機の騒音に日々悩まされる上に川を汚染する事故が起き、亀川さんは「米軍は兵士全員で対応するべきだった。何もしなかったのはあり得ない」と怒りを隠さない。

 事故から1カ月が経過して泡は見られなくなったが、県などの水質調査で高濃度PFASが検出されたことに会員も不安を抱く。ギンネムだらけで足の踏み場がなかった川沿いを、15年かけて清掃し桜を中心に苗木を植えてきた。今では自然を楽しめる散歩道となり、地域住民の憩いの場となった。

 新垣正夫会長(80)は「地域にも喜ばれ、やりがいがある」と日焼け顔で笑う。4月まで会長を務めた佐久本暁(あきら)顧問(81)は「米軍はしっかり管理してもらわないと困る。今後はもっと桜並木ができたらいいね」と前を向き、川沿いを泡ではなく桜で満開にすることを夢見た。
 (金良孝矢)