保育士、コロナ休園で不当な給与減 「欠勤」扱い、年休前倒しのケースも


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保育士の給与補償などについて県に要請する(左から)伊敷光寿豊見城市議、伊礼研一浦添市議、下地敏夫那覇市議=12日、県庁

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策として保育の規模縮小や休園をしている認可保育園の一部で、休暇を取らざるを得なくなった保育士に対し「欠勤」扱いとし給与を減額したり、本人の意向に反して「年次有給休暇」(年休)扱いしたりするなど、不利益となる対応が行われていることが12日までに明らかになった。

 内閣府は4月28日付で「新型コロナで休園となった場合でも運営費を通常通り給付し、施設の収入を保証する。人件費も適切に対応していただくべき」と各県に通知しており、県も12日、4月に引き続き市町村に同文書を通知し改善を求めた。

 12日、保育士らからの訴えを受け、那覇、浦添、豊見城の市議が連名で県に要請書を提出し、休園や規模縮小に伴う4月以降の保育士の休暇はすべて新型コロナウイルスに伴う「特別休暇」で有給扱いとすることなどを求めた。

 県に要請した伊礼研一浦添市議によると、県内で一部休園中のある認可園では、保育士を欠勤扱いとしたり、次年度に労働者に与えられるはずの年休を前倒しで利用するよう求めたりしているという。市議らは「公金である運営費を運営側が自らの懐に入れている可能性がある。あってはならない事態だ」と指摘した。

 県子ども生活福祉部子育て支援課の前川早由利課長は「県としても問題視している。厳しい目で悪質な事例はきちんと対応していきたい」と話した。同課によると、認可園は国などから支給される運営費と無償化対象外園児からの保育料で運営している。新型コロナで休園になっても運営費は満額支給され、保育料収入が減った分も補償されるという。

「なぜ特別休暇取れない」涙の訴え

 本島南部の認可保育園に勤めている女性保育士は自身の子どもが通う保育園が4月半ばから完全休園になった。子どもを預けられず、保育園を休まざるを得なくなったが、園からは「自己都合による休み」とされ、給与の発生しない「欠勤」扱いとされた。非常勤のパートタイムのため、4月の給与の手取りは、通常より4万円少ない5万円台にまで減った。

 「自分の都合で休んでいるんだし、仕方ないか」と思っていたが、別の園では給与の発生する「特別休暇」が与えられていることを知った。「なぜうちの園では特別休暇が取れないのか」と園に対する不信感が湧いた。

 子どもが通う園は31日まで休園の予定。5月は預け先の都合がついた2日間しか出勤できていない。「今のままだと、保険料などを引いたらマイナスになってしまう」と不安を募らせ、涙を流した。

 別の市町村の認可園では「コロナ特別休暇」が与えられたものの、2日間だけ。それを超えて休む場合は年休を取るよう言われた。この園に勤める保育士は「年休をほとんど使ってしまい、これから先は自分の子どもの行事があっても休めない人もいる」と憤る。