ソフトボール・洲鎌夏子 ひたすらバット振る 金メダルへ長打を磨く【Reスタート・5】


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読谷村で行われた代表合宿でフォームを確認しながら打撃練習に精を出す洲鎌夏子=2019年12月、読谷村のオキハム読谷平和の森球場

 「これが五輪に出る最後のチャンス」と、強い覚悟で東京五輪を目指す女子ソフトボールの洲鎌夏子(知念高―環太平洋大出、豊田自動織機)。現在30歳。延期は異例の出来事だが、目標とする舞台がなくなったわけではない。「あと1年あるということはレベルアップできるチャンス」と前を見据える。スラッガーとしてのレベル向上に向け、ひたすらにバットを振る。

 昨年から毎月のように国内外で開かれた代表合宿に招集された。159センチと代表チームで最も小柄だが、「一発が打てないと怖くない」と長打力を重視する宇津木麗華代表監督の下、フォームを試行錯誤しながらアピールを続けた。「合宿の試合でも結果は悪くなかった」と力を出し切り、今年3月下旬の予定だった代表選手の決定直前には「どんな結果でも納得できる」と朗報を待っていた。

 しかし登録選手の発表は延期に。五輪中止も頭をよぎり「まさかなくなるわけないよな…」と不安も感じたという。最悪の事態を想定しただけに、延期の決定には「マイナスにはならなかった」と淡々と受け入れることができた。

 今は練習が制限された状態だ。所属チームでは選手ごとに日や時間を分けてグラウンドを使用する。週3日、1日2時間半というトレーニングの頻度は以前の半分ほどになった。接触を避けるため、ティーバッティングや素振りなど個人練習が主だ。

 代表活動は再開のめどが立たず、日本リーグの開幕も3月から9月にずれ込む見通しだが「マイナスに考えている時間がもったいない」と黙々とスイングを繰り返す。自宅周辺を走ったり、家で体幹トレーニングをしたりして工夫しながら体を整える。

 長打力を強化するために「ぶれない軸で打つ」というこれまで掲げてきた理想のフォームも「いい形が固まってきている」と好感触を得ている。この1年も「バッティングの出来が勝負。速い球、遅い球に対応ができて、長打も打てる選手になる」とやるべきことは変わらない。「もっといろんなことを学びたい」と貪欲に進化を求める。

 来年8月には32歳になる。代表ではベテランに入るが「31も32も大して変わらない」と年齢的な影響は歯牙にもかけず、「五輪に出て金メダルを取る」と頼もしい。1年後、代表をけん引する“大砲”へとさらなる進化を遂げる青写真を描く。

(長嶺真輝)