喜友名諒「基本からじっくり」 道場での稽古を公開 五輪延期にも充実表情


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ミット打ちで蹴りを確認する喜友名諒=13日、那覇市泊の佐久本空手アカデミー

 空手道男子形で東京五輪出場を決めている喜友名諒(29)=劉衛流龍鳳会=が13日、那覇市泊の道場での稽古を報道陣に公開した。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、稽古は少人数に絞るなどのルールを決めて継続してきた。五輪が延期となったが、師匠の佐久本嗣男氏は「期間が延びた以上は順応していくだけ」と喜友名とともに万全の準備を積み重ねている。

 佐久本氏は「相手を想定する形本来の意味を深く落とし込む」と実戦性にこだわる。形のプロセスを3分割して、動きの細部まで確認できる稽古メニューに組み立て直した。8月までは突きや蹴りを相手に当てる「当破(あてぃふぁ)」で身体を鍛え、「まともに当たれば内臓が破裂する」(佐久本氏)というほどの強烈な蹴りのミット打ちや、組手の時間を増やし、実戦に近づけることを追い求めている。

 これまでも巻藁突きなど実際に拳などを突き当てることを繰り返してきた喜友名は稽古を通じて「拳の感覚や力の伝え方が分かりやすくなる」と話し、組手については「膝の抜き差しで生かされる」と手応えを得ている。

 稽古中は、佐久本氏から「一寸の狂いは死だと思え」などとげきが飛ぶ。休憩中も道場は緊張感に包まれていた。

 メニューは段階を踏んで変えていき、五輪が目前となる来春からはスピードなど技術面に特化して行う予定だ。部分稽古が増えている現状について喜友名は「一つ一つの技を確認しながら流れを意識している。基本からじっくりできている」と充実した表情で語った。