休業解除の那覇を歩く 専門店に客足「ありがたい」 国際通りはまだ静寂


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 新型コロナウイルス感染拡大防止で県の休業要請が14日に一部業種を除いて解除され、大型商業施設や遊興施設などが営業を再開した。飲食店への時短営業の協力要請も緩和され、酒類の提供が午後9時まで、営業時間が午後10時までと、それぞれ2時間ずつ延びる形になった。

自粛していた店内飲食を再開。カウンターにはビニールシートで仕切りを設置した=14日、那覇市泉崎の居酒屋「ちんまーやー」

 約20日間にわたって店舗を覆っていたガードが外されると、店内にぽつりぽつりと客が入ってきた。県の休業要請が解除された14日、サンエー那覇メインプレイスでは約6割の専門店が営業を再開した。

 「お客さまが来てくれることがありがたい」。婦人服を扱うグランタブルカレンの比嘉芽依子店長は久しぶりの開店を喜んだ。

 臨時休業中に春から梅雨へと季節が変わり、汗ばむ日も増えてきた。比嘉店長は「アパレルで1カ月近い休業は大きい。セールやオンラインで販売するなど工夫しながら、沖縄の季候に合った売り場作りをしていきたい」と意気込んだ。

 正午すぎには家族連れの姿も目立つようになり、これまでの平日と同じくらいの客足になった。娘(15)と来店した女性(49)は「気は引けたけど、目当ての店が再開したので」と話しながら、洋服を娘の体に当て選んでいた。

 那覇メインプレイス担当者は「専門店が開くと、昨日までとは雰囲気が全然違う」と、活気を取り戻した店内を感慨深く見つめた。

 県民の消費活動が戻りつつある一方で、観光客向けの土産品店や飲食店が並ぶ那覇市の国際通りは、13日までと同様にほとんどの店でシャッターは閉じたままだった。大型ビジョンから流れる新型コロナウイルスに関する政府広報がやけに大きく聞こえた。

 臨時休業中の飲食店街「国際通りのれん街」の前では、入居店舗が持ち帰り用の弁当を売っていた。「のれん街」は16日から営業を再開するが、一部の入居店舗には再開は未定としているところもある。

 琉球神鶏の林善哉さんは「観光客が戻って来るのはもう少し先だろう。国際通りに地元の人が来てほしいけど、イベントもできない」と険しい表情を浮かべた。

 国際通りから裏手に入ると映画館「桜坂劇場」が16日の再開に向けて店内の掃除をしていた。来場者が以前の水準に戻るか見通しはつかない。それでも下地久美子取締役は「早く映画を見たいという声をいただいている。芸術文化発信の場として必要としている人に届けることが役割だ」と話し、再開準備を急いだ。

 夜になると、那覇市泉崎の居酒屋「ちんまーやー」に明かりがともった。4月21日から店内飲食を自粛し、テークアウトだけの販売となっていた。県の休業要請の解除を受けて、14日午後5時に店内での飲食を再開した。

 感染防止のため受け入れられる客数も減る上、営業時間は午後10時終了が求められている。コロナ前の売り上げには戻らないとみるが、店を営む上原之映(ゆきえ)さんは「給付金はまだ何も入ってきていない。少しでも日銭を稼がないとやっていけない」と再開に一筋の望みをつなぐ。それまで観光客や地元の常連客ですぐに満席となった店内は、午後7時になっても全て空席だった。上原さんは「すぐに活動再開とはなりませんね」と苦笑いを浮かべた。

 (玉城江梨子)