泡消火剤流出 有害物質PFASは指標下回る 一部代替化合物は増加も 普天間周辺


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭

 【宜野湾】有害性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)などを含む泡消火剤が4月10日に米軍普天間飛行場から沖縄県宜野湾市の宇地泊川(比屋良川)へ流出した問題で、琉球新報は事故から1カ月後の今月10日に川周辺の水を採取し、京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)に分析を依頼した。その結果、水に含む化合物のPFOSとPFOAの合計値は日本の暫定指針値案(1リットル当たり50ナノグラム)や米国の暫定指標値(同40ナノグラム)を下回った。一方、有害の恐れがある一定量の他の有機フッ素化合物も引き続き検出され、原田准教授は継続的な環境調査の必要性を指摘している。

 事故直後の4月11~13日に採取した水の合計値は、泡が滞留した宇地泊川で1リットル当たり最大247.2ナノグラムだったが、約1カ月後は同10.6ナノグラムにまで減少した。約1カ月前に採取した牧港漁港など他の4地点でも同30.2~144ナノグラムの値が、同5.8~9.7ナノグラムに下がった。

 原田准教授は4月と5月に採取した水から、泡消火剤に使われるとされる化合物「6:2FTS」を検出した。宇地泊川沿いで泡が付着していた水たまりでは4月の同6万6430.8ナノグラムから、5月は同7万5600.3ナノグラムに増加していた。同物質はPFOSが国際的に製造や使用が禁止された後、代替品として使用される事例があるという。

 原田准教授は、PFOSやPFOAの値が減少したことに「雨などで流され、かなり薄まったと考えていい」とみる。別の化合物検出は「泡消火剤で使われている可能性が高く、注意が必要だ。今後は河川の底質や生物への影響などをモニタリングして確認する必要がある」と指摘した。
 (金良孝矢)