児童養護施設の高校生に支援を 学生支援で対象外、親に頼れず


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 文部科学省は新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入が減少した学生に10万円、住民税非課税世帯には20万円を給付する支援策を発表したが、給付対象は大学生や専門学校生で、高校生は外れている。県内には1人暮らしを始める資金をアルバイトでためている児童養護施設の高校生や、通学費用や携帯料金をアルバイトで賄っている高校生もいるため、高校生に対する支援の必要性を訴える声もある。

 文科省によると、支援策は大学や専門学校を管轄する高等教育局がまとめた。高等教育局担当者は本紙の取材に「高校生は初等中等教育局が担当している。支援策をつくるに当たって、局をまたいだ検討はしていない」と説明した。

 初等中等教育局の担当者は「高校生は本人ではなく親権者が生計を維持している場合が多い。親権者の収入が減るなど家計が急変した場合は修学支援制度がある」と説明。高校生本人が対象ではないものの、家庭全体の収入減に対する支援策は用意されていることを強調した。

 児童養護施設「愛隣園」の上江洲肇施設長は「施設にいる間は生活が保障されているが、基本的に高校生は卒業後、新生活を始めるための費用が必要となる。施設の高校生は親に頼れないので、アルバイトの収入は新生活をスタートさせるために貴重だ」と述べ、高校生にも目を向けた支援の必要性を語った。