首里城正殿の材木、ヒノキなど5種から今秋決定 再建作業にコロナの影響なし


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焼失前の首里城正殿

 沖縄総合事務局は21日、首里城復元に向けた技術検討委員会(委員長・高良倉吉琉球大名誉教授)の2020年度最初の会合を那覇市の総合事務局で開いた。正殿に使用される大径材(最小径が30センチ以上の丸太)の調達を21年度から始めるため、今秋までに木の種類を決定することを確認した。

 候補に挙がっている国産ヒノキ、カナダヒノキなど5種類について、国内の事業者らから価格を確認する作業を5月下旬から進める。鈴木武彦沖縄総合事務局国営沖縄記念公園事務所長は、首里城再建に向けた技術の作業検討に関し、現時点でコロナ禍による変更や影響はないとの見解を示した。

 正殿の復元は、国建(那覇市、比嘉盛朋社長)が基本設計の作業を始めている。前回の設計を基本的に踏襲する方針。今後、設計の状況を見ながら本会議のほか、彩色・彫刻、防災、木材・瓦類の3ワーキンググループ(WG)を適宜開催し、委員会の意見を設計にも反映させていく。

 今後1年かけて、北殿や南殿を含む首里城全体の防火対策や、防災・防火設備の設置場所の検討、塗装・彩色方法の検証も進める。

 正殿の大龍柱が現在の向き合う形ではなく、正面向きではないかとの意見が市民団体らから出ていることについて、高良委員長は「意見は知っている。前回の復元では古文書『寸法記(通称)』(1768年)に即して向き合う形にした」と述べるにとどめた。