「今は思い切り泣いていい」「やってきたこと無駄にならない」甲子園で輝いた元球児たちのエール


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 戦後初の夏の甲子園中止決定は沖縄県関係者にも衝撃を与えた。甲子園を沸かせた名選手たちは「やってきたことは無駄ではない」と球児を思いやった。全国的にも野球好きが多いことで知られる沖縄。応援や観戦を楽しみにしている県民は「青春の1ページがなくなる」と残念がった。

 興南高校のエースとして、2010年の甲子園で春夏連覇を成し遂げた島袋洋奨さん(27)は「幼い頃に野球を始めたきっかけが甲子園だった。中止と聞き言葉にならない」と語る。球児らに「これまでやってきたことは決して無駄にはならない。少しずつ前を向いて次のステージを目指し頑張ってほしい」とエールを送った。

 1990、91年の夏に沖縄水産高校で準優勝を果たし、今は中学生の硬式野球チームで指導する大野倫さん(47)は「ショックだ」と言葉をつまらせた。「すぐに気持ちは切り替えられないと思う。今は一度立ち止まり、思い切り泣いていい」と球児らに語り掛けた。

 毎年、県代表校を応援する沖縄県人会兵庫県本部の具志堅和男会長(73)は「残念の一言だ」とため息をつく。「子どもたちが努力してきたことは、長い人生の中で無駄じゃない。晴れ舞台は中止になったが、努力したことは事実として残る」と励ました。

 八重山高校卒業生らで結成した「八重高が甲子園に行く会」の安里國昭会長(78)は「甲子園は、野球をする全ての高校生にとって夢の舞台だ。青春の1ページがなくなるのは至極残念だ」と声を落とした。

 那覇市の平和通り商店街では過去に、通りにテレビを設置して大勢で高校野球を観戦していた。同商店街振興組合の奥間良順副理事長(63)は「今年も横断幕を設置して応援しようと話し合っていた。県民が盛り上がる一大イベントがなくなり残念だ」と話した。