換気したいけど・・・基地周辺の学校、「3密」と米軍機騒音対策に頭抱え


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屋良小学校の家庭科教室の窓から見える米軍嘉手納基地(奥)=20日、嘉手納町屋良

 県内で新型コロナウイルスの新たな感染者が出ていないことを受け、臨時休校していた公立小中高校が21日から一斉に再開する。各学校とも密集、密閉、密接の3密を避ける対策に余念がなく、毎朝の検温など家庭とも協力した感染予防策を実施する。ただ、米軍基地周辺の学校では、換気のために窓を開けると米軍機騒音の問題があり「密」対策と、騒音対策の両立に頭を悩ませる。

 嘉手納町立屋良小学校は熱が出た生徒を待機させるため、保健室の入り口を2カ所に分けた。英語の授業を行う部屋には、1メートル間隔で床に目印のテープを貼り、児童が「ソーシャルディスタンス」を意識できるように工夫した。

 同校は戦闘機が飛び交う米軍嘉手納基地から約200メートルの距離にある。騒音対策のため授業中は防音仕様の窓を閉め切り、クーラーをかける予定だ。クーラーには換気機能があるが、休み時間や給食から清掃までの時間などに窓を開けた換気も行う。

 古謝敦子教頭は「安全第一だ。先生やPTAと協力し、考えつくあらゆることを実行する」と強調する。手を尽くした上で児童の登校を待ちわびる。

 米軍ヘリの騒音が激しい米軍普天間飛行場周辺の学校からは「始まってみないと分からない」と、心配する声が出ている。

 宜野湾市立普天間中学校の佐伯進校長は「ずっと飛んでいるわけではないが、ヘリがホバリングしている間は話が聞こえないほどうるさい」と説明する。再開後の授業中はクーラーをかけつつ、窓を少し開けることで密閉状態を防ぐ予定だが「どれだけ影響が出るか、まだ分からない部分がある」と気をもむ。

 米軍基地周辺の学校は窓が防音仕様となっているが、窓を閉めても騒音の影響はあるという。同市内のある小学校校長は「音より(コロナで奪われる)命のほうが大切だ。我慢してもらうしかない。難しい問題だ」と漏らした。