血統不一致、南部市場の交雑種牛でも3頭 自家授精の酪農家「記入ミス」


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 乳牛のホルスタイン種と黒毛和牛を掛け合わせた交雑種(F1)の子牛3頭で、父牛とされる黒毛和牛との血統不一致が出たことが21日、分かった。県内で人工授精が行われ、南部家畜市場を通して熊本県の購買者に渡った。交雑種は肥育して「国産牛」として肉用に流通されることが多い。久米島町内で相次いだ和牛の血統不一致に続き、交雑種でも複数の不一致が明らかになった。

 血統不一致の子牛は南部家畜市場に出品され、福岡の購買者を経て、熊本の購買者が購入した。その後、DNA検査をしたところ3頭で不一致が見つかり、子牛が競りに掛けられた南部家畜市場に連絡があった。

 このうち1頭は本島南部の酪農家が種付けした牛で、琉球新報の取材に酪農家は「いつも使っている精液を他の精液に切り替えたタイミングで、書類(授精証明書)の記入を間違えた」と説明した。

 家畜人工授精師の免許は持っておらず、自身の農場だけで種付けする「自家授精」を行っているという。農水省によると、自家授精であれば免許がなくても授精業務を行えるという。

 交雑種の子牛は和牛に比べると売買価格は低く、県内の競りでは1頭20~30万円ほどで取引される。和牛ほどではないが血統が価格に結び付いてくる。

 種付けした酪農家が加盟する県酪農農業協同組合は15日に、南部家畜市場から報告を受けた。担当者は「信頼回復に向けて競りに上場する牛をランダムに検査する。記録、記帳の管理徹底を農家に周知する」と話した。

 県畜産課の久保田一史課長は「人が行う作業なのでミスは出てくる。可能な限りミスを少なくするために、農家に注意喚起など指導をしなければならない」と述べた。