王家絵画を復元、初公開 9月まで県立博物館


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
長さ約7メートルの「四季〓毛花卉図巻」に見入る来館者の親子=21日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 琉球王国時代に国王家が所蔵し、当時の絵師の手本として大切にしたと伝えられている絵画作品「四季〓毛花卉図巻(しきれいもうかきずかん)」の模造復元品を県立博物館・美術館が完成させ、21日から同館で初めて公開している。横の全長約720センチ、縦35・6センチの絵巻をすべて広げている。

 同作品は中国の絵師・孫億が1712年ごろに描いたとされ、原物は九州国立博物館が所蔵している。復元品は高い技術を持つ現代の絵師が中国の絵画技法による細やかな表現を再現した。常設展のうち「よみがえれ首里城―王国の輝き」のコーナーで展示中。国王が使用した「玉御冠(たまんちゃーぶい)」の模造復元品も3年かけて制作し公開した。同展示コーナーは9月6日まで、首里城関連の美術工芸品を計33点展示する。

 「四季〓毛花卉図巻」について担当学芸員の伊禮拓郎さんは「すべて広げての展示は最初で最後の可能性もある。表だけでなく裏からも色を塗り、アクセントをつけている。花々の美しさやどんな鳥がいるのかなど楽しんでほしい」と来館を呼び掛けた。

 42日ぶりに開館した同館では、博物館企画展として「新収蔵品展」と「激動の明治・大正の沖縄 第11代齋藤用之助の足跡から」も21日から始まった。いずれも6月21日まで。

※注:〓は「令」の右に「羽」の旧字体