オンラインイベント、新たなツールに 会場、費用も気兼ね少なくバリアフリー


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 新型コロナウイルス感染拡大防止のための活動自粛要請が解除され、感染防止と社会経済活動を両立させる「新しい生活様式」の段階に入った。そこで注目されるのが「オンラインイベント」だ。大きな会場を使用せずに開催できる費用面や、世界中どこからでも参加できるという気軽さ、移動が難しい障がい者や時間に制約のある子育て中の人が参加しやすいというメリットの実感が広がる。活動自粛期間に「集まれないから」という理由で盛んに行われ始めたが、今後もイベントの一つの形として定着しそうだ。

県内の2人の若手経営者が登壇し経営戦略のポイントについて話したオンラインイベントの画面(スタートアップラボラグーン提供)

 今月9日の午後8時、オンライン上で県内の若手経営者2人が中小企業の経営戦略のポイントについて話すイベントが開催されていた。コロナ禍で多くの中小企業の経営が危機的な状況となっている中で関心は高く、参加者は187人に上った。登壇者、司会者とも別々の場所からオンライン会議ツール「Zoom」で出席。その画面をユーチューブで参加者に限定配信した。チャットで2人に質問することも可能だ。

 主催したスタートアップラボラグーン(沖縄市)がイベントを告知したのは4日前。登壇者に依頼したのは1週間前というスピード開催だった。これが会場を借りるイベントだと「2カ月はかかる」という。

 従来型イベントとのもう一つの違いは、参加者に子育て中の女性が多かったことだ。ラグーンの日髙春奈さんは「これまで参加したくてもできなかった人たちがこんなにいたのかと驚いた。イベントを開催する側が選択肢を用意することが必要だと痛感した」と話す。

 従来型のイベントは必要ないのだろうか。日髙さんは「オフラインは関係づくりの場。オンラインは伝えたいことを効率的に伝える場で役割が違う。それぞれを組み合わせていきたい」と今後のイベントの在り方を見通した。

 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)の武末泰英リゾテック推進セクションマネジャーは「セキュリティーやインターネット回線の状況など気を付ける点はあるが、オンラインイベントやセミナーは今後定番になるのは間違いない。どこからでも参加できるので、効率的に知識や新しい情報を得られるようになる」と潮流を指摘する。その上で「いろいろなツールを使いこなすITリテラシーがますます多くの人に必要になっていく」と話した。

(玉城江梨子)