評価多数も立場に違い 北部基幹病院<争点を洗う①>


評価多数も立場に違い 北部基幹病院<争点を洗う①>
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 名護市の県立北部病院と北部地区医師会病院を統合する「北部基幹病院」の設置を巡り、北部12市町村は今年2月、経営システムや財政負担など基本的な枠組みを定めた県の合意書案を受け入れた。慢性的な医師不足による診療制限や休止、中南部への患者の流出など、北部医療圏の問題を是正するため、基幹病院設置に向けた作業が今後本格化していく見通しだ。

 北部医療圏は県立北部病院と北部地区医師会病院の二つの病院があることで、医師と患者の分散が続いてきた。2病院体制による患者の分散は臨床研修に必要な症例数の不足という問題を招き、指導体制が構築できないことで若手医師が集まりにくいとの指摘もあった。さらに若手医師が集まらないことが、さらなる医師不足を招いている。こうした悪循環を断ち切ろうと基幹病院の設置が求められてきた。

 ただ、合意書案では県と北部12市町村で設立する一般財団法人が指定管理を受けて北部基幹病院を運営することになる。県立ではなくなることについて、県政与党の一部からは経営の持続可能性や医師確保の見通しなどに疑問の声も上がっている。

 県議選立候補予定者の64人を対象にした琉球新報のアンケート調査では、県の合意書案について、54人が「評価する」と回答した。早急な作業着手を求める声が多く上がる一方で、北部市町村の負担金増や不採算医療の切り捨てへの懸念から慎重な議論を求める意見もあるなど、立候補予定者ごとに考え方の違いがある。「評価しない」とした4人のうち、3人は県立病院の経営体制を維持するべきだと主張している。県議選の結果が基幹病院の設置計画に影響を与える可能性もあり、各立候補予定者の政策論争に注目が集まる。

('20県議選取材班)

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 第13回県議会議員選挙は29日に告示、6月7日に投開票される。選挙で問われる課題や争点をまとめる。