県中学総体中止、開催を模索したが…「宿泊1000人」最大の壁に


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県中学総体中止について説明する県中体連の相澤敬二会長=25日、那覇市の県体協スポーツ会館

 今夏の中学生スポーツは全国大会、九州大会に続き、県中学総体までもが中止となった。高校野球では県大会の独自開催が決定。スポーツ界には再開に向けた兆しが見え始めた中、延期となっていた県中学総体に期待する選手も少なくなかった。県の頂点を争う活躍の場がなくなり「気持ちのやり場が見つからない」と動揺は隠せない。各地区中体連は、多くの選手が参加する地区大会については開催にこぎ着けたい考えで調整を急ぐ。

 県中学総体の中止決定について県中体連は生徒、関係者の安全を最優先したことと、地区大会の開催を担保する必要があったと説明した。

 7月21日開幕を延期し、9月を軸に新たな日程を調整していた。宮古、八重山地区で予定していた競技を本島に移す会場変更案、参加人数が少ない競技をオープン大会として8月ごろに開催し、その後、残り競技を9月の連休を利用して行う日程変更案などを模索したという。

 しかし、例年は宿泊を伴う参加者が約千人に上り、保護者も含めるとさらに多くの移動、宿泊を伴う。主に離島からの移動や宿泊、会場の出入りの際に感染防止対策を十分には取ることができないと判断した。

昨年の県中学校総合体育大会の総合開会式=2019年7月21日、北中城村の県総合運動公園レクドーム

 県総体予選となる県内六つの地区大会にはより多くの選手が出場する。県総体の延期が決まり、開催が不透明な中でも、各地区中体連では地区大会は実施との意向が強かった。地区大会を開催するためには県総体を中止することが好材料となると判断した。

 9月開催が軸となった県総体が中止になれば、地区大会の日程をさらに引き延ばし、開催に向けた選択肢に幅ができる。また、早めの中止判断を下すことで地区大会の日程や会場調整などにすぐに取りかかることができることも重視したという。

 地区大会の開催後、各競技団体が独自に中学生の県大会を行う手段も考えられるが、関係者は他の大会日程の兼ね合いからほとんどの競技で「開催は難しいのではないか」との見方を示している。

 今後、県中体連は感染防止ガイドラインの作成や大会の日程調整などで地区中体連と連携し、サポートするという。相澤敬二会長は選手らに向けて「(県総体中止は)大変残念だと思うが、地区大会に向けて今できる練習を行いながら、備えてほしい」と沈痛な面持ちで話した。