活動再開の指針、提案が必要 コロナ後で音楽団体議論


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オンラインミーティングで、状況報告や意見交換を行った県内クラシック団体有志(ビューローダンケ提供)

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて活動自粛となっている県内の音楽団体に所属する有志らが19日、オンラインミーティングを行った。各団体や演奏家としての状況の共有や関係機関との連携方法、支援の在り方について約2時間にわたって議論を交わした。関係者からは自粛解除になっても先の見通しが立てられない不安の声や、ガイドラインの指針を具体的に提案していく声が上がった。

 参加者は琉球交響楽団の高江洲貴美恵氏、根間安代氏、ビューローダンケ代表の渡久地圭氏、楽友協会おきなわ代表理事の大城伸悟氏、喜納響氏、平良明子氏、沖縄オペラアカデミー代表理事の黒島舞季子氏。オブザーバーに県文化振興会の樋口貞幸氏を含む計7団体が参加した。

 県は21日から全事業者に対しての休業要請を解除し、イベントについて県が作成したガイドラインに基づく感染症対策をした上での実施を求めている。

 渡久地氏、根間氏、大城氏は「自粛が解除されても、音楽業界や劇場の早期の活動再開は難しい」と訴え、渡久地氏は「利用再開に向けた各ホールのガイドラインがどうなればいいのかがとても大きい。今後も劇場などでの活動が中心となる。その他のアウトプットも考えていく状況だ」と話した。

 黒島氏は3月末から来年5月に延期したオペラ公演の企画縮小を検討をしていると報告。喜納氏は「合唱の指導は人数が多く再開できない。ホールを利用したコンサートは今期は難しいと考える。動画の有料配信も注視している」と現状を共有した。

 オンラインレッスンやコンサートの動画配信の難しさや県が策定したガイドラインについて議論した。楽友協会おきなわの大城氏は「一般の人から見て、演奏の動画は面白いのかというのが分からない。効果としてどうなのか」と疑問を呈した。

 一方で樋口氏は劇場の映像配信のインフラ整備について「舞台に携わる人たちが、地方や離島にまで配信するための機材を整備するのはハードルが高く、国が公共の仕事として取り組むべき」と国への提言の必要性を話した。

 さらに樋口氏は県内の劇場関係者とキャリアの浅い若年層が一緒に話し合えるプラットフォームづくりを提案した。渡久地氏は今後、音楽団体や関係機関が連携し、ガイドラインを県に提案していくための情報共有の場を呼び掛けた。

 ガイドラインについて喜納氏はホール施設での合唱や演奏時の感染リスクについてドイツでの検証を例に挙げ、「どのくらいの距離を保てばいいのか。科学的にも県独自で検証できれば、一つのガイドラインの指針になる」と県に検証を求めた。
 (青山香歩、田中芳)