交付金巡り立場違いも 沖縄振興・交通政策<争点を洗う③>


この記事を書いた人 Avatar photo 嶋野 雅明

 2022年は沖縄が日本に復帰して50年の節目を迎える。現在の第5次沖縄振興計画(沖縄21世紀ビジョン基本計画)の期限も迫っており、今回の県議選の当選者は次期振興計画の取り扱いについて積極的な議論が求められる。琉球新報が立候補予定者64人に実施したアンケート調査では、計画策定の根拠となる沖縄振興特別措置法の延長を求める予定者が62人に上った。

 復帰後の1972年から始まった沖縄振興計画は第3次計画まで「本土との格差是正」、4次計画は「民間主導型の経済構築」を掲げ、産業振興や社会資本整備を中心に施策が展開された。一方、2012年から始まった現計画からは「沖縄らしい優しい社会の構築」と「強くしなやかな経済」を打ち出し、教育や福祉、文化などの施策に取り組む方針が示されている。

 現計画から始まった一括交付金制度はソフト事業に活用され、県や市町村でさまざまな事業が推進されてきた。アンケートでは60人が「評価する」と回答。次期振興計画でも制度の継続を求める声が多い。ただ一括交付金を巡っては、政府が米軍普天間飛行場の移設問題とリンクさせているとの指摘も与党から上がっている。辺野古移設に反対する翁長県政が誕生した14年以降は減少傾向が続き、現県政下でも同様の傾向にある。野党などは予算が減額傾向となっていることに対し、県政の政治折衝力が足りないとの意見が上がる。

 産業振興の面で、大きな争点となるのは「交通政策」だ。内閣府や県で検討が進む鉄軌道の導入については賛成56人、反対2人、その他が6人だった。次世代型路面電車(LRT)の導入やバス網の整備などを含め、各立候補予定者は独自の交通政策を掲げて、選挙戦で支持拡大を図る。 (’20県議選取材班)