現場任せの学校コロナ対策 消毒150カ所、生徒の心のケア…養護教諭「いつまで続くのか」


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次亜塩素酸ナトリウムによる消毒に使うため、学校で集めた古布(提供)

 沖縄県内での学校再開後、各学校は新型コロナウイルス対策を講じているが、衛生管理を担当する養護教諭の負担が増加している。文部科学省は衛生管理マニュアルを示しているものの、除菌液やその容器の調達、生徒が発熱した場合の対応、集団検診の実施方法などは現場任せとなっている。県高校障害児学校教職員組合(高教組)は養護教諭の声をまとめ、県や県教育委員会に対策を求めた。

 文科省が示した衛生管理マニュアルには、学校における施設の消毒に「次亜塩素酸ナトリウムを積極的に利用ください」と記されている。次亜塩素酸ナトリウムとは、衣料用やキッチン用として市販される漂白剤を水で希釈した液体。作り置きはできず、学校では教職員や生徒が毎日、バケツなどで作っているという。

 消毒する場所はホームルーム教室だけでなく、理科室や音楽室などの特別教室も含まれる。ある学校では消毒する教室が150カ所にも及ぶという。

 次亜塩素酸ナトリウムによる消毒は水拭きしないと臭いが残ることもあるといい、労力も掛かる。使い捨てのペーパータオルを使用するが、購入し続けるにも予算的な制限があり、古布を教職員や生徒から集めているという。噴霧だけで済ませられる消毒用エタノールは入手困難だ。

 発熱した生徒は保護者が迎えるまで別室で待機させるが、その場所の確保にも苦労する。空き部屋がなく、ついたてを立てて「別室」を仕立てる学校もある。

 臨時休校が長期化したため生徒の心のケアも求められており、保健室の来室が増えることも懸念される。特別支援学校では、歯磨きやトイレ介助など、教師と生徒が密接に関わる場面が多く想定されるため、神経をすり減らす。歯科検診や内科検診の実施方法も懸念材料だ。

 養護教諭は大規模校でない限り、学校に1人しか配置されていない。教職員の手伝いはあるものの、対策をとりまとめるのは重責で、自身が感染する不安もつきまとう。

 ある養護教諭は「何もかも足りない中で、現場任せになっているのはつらい。これをいつまで続けなければならないのか。とても不安だ」と漏らした。(稲福政俊)