ゆいレール今年度は乗客3割減予測 3車両化計画は変更なし


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3両編成車両を停車する新車両基地のイメージ図。左の赤色の施設が新たに整備する車両基地、右手の白色の施設は既存の車両基地=那覇市安次嶺(沖縄都市モノレール提供)

 2019年度の沖縄都市モノレールは、浦添延長区間の開通によって1日平均乗客数は過去最高の5万5766人となった。一方で本年度は新型コロナウイルスの影響を受けて乗客が激減し、経営環境は厳しくなることが見込まれる。

 同社は、20年度の乗客数についてコロナの影響で正確な予想ができないとした上で、観光客が来ない前提で19年度の3割減に当たる1日平均3万8500人と仮定している。

 乗車料収入が売上高のほとんどを占めるため、仮定通りになれば「十数億円の赤字になる」(仲村守常務)という。手元資金を厚くするために県、那覇市、沖縄振興開発金融公庫からの借入金について返済計画見直しを働き掛ける。美里義雅社長は「関係機関とは密接に情報交換している」と話す。

 同社は、輸送力強化のために車両を3両編成にする計画を進めている。現状の乗客数の減少を受けても、23年度から3両編成車両を運行させる計画に変更はないという。

 3両化の総事業費約280億円のうち、同社負担分は約56億円だが、公庫などから融資を受けるために約27億円の債務超過状態を解消する必要があった。多額の資金を貸し付けている県と那覇市が債権の一部を株式化するデッド・エクイティ・スワップ(DES)と呼ばれる手法を使い、2月に債務超過を解消した。

 県や那覇市、浦添市は株式配当から回収していくことになる。しかし03年の開業以来、15年度まで赤字が続いてきた都市モノ社の累積赤字は125億円に上っているため、当面配当の予定はない。

 県や各市町村はコロナ対策に支出を重ねている。関係機関の協力が必須の大型設備投資がスムーズに進むか、不透明な部分もある。美里社長は「那覇空港第2滑走路の利用開始もあり、将来的に沖縄観光はさらに発展する。長期的にみて3両化は必要だ」と理解を求めた。