「発売は奇跡的」究極が新アルバム「六月の雨」 80年代の音源、40年経て発売


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(右から)ジン、垣花義毅、マサキ=2017年、那覇市(垣花義毅提供)

 2015年に再始動したフォークデュオ「究極」が22日、初のCDアルバム「六月の雨」(SUPER FUJI DISCS)の沖縄限定版を、6月の全国発売に先駆けて発売した。「究極」は浦添高校出身のシゲとジンが1978年に結成し、81年に全国発売したレコード「六月の雨 C/W 秋風にさそわれて」で一世を風靡(ふうび)した。ジンは「青春時代を思い出して聞いてほしい」と話した。

 デュオの名前・究極は、イギリスのロックバンド・イエスが77年に発表したアルバム「究極」と、2人の「音楽をとことん極めたい」との思いに由来する。アルバムの音源は、80年に久保田麻琴のアレンジとプロデュースを受け、東京タワーが見えるスタジオで録音した。究極は、互いの音楽への思いがぶつかり合い82年に解散となり、アルバムはお蔵入りになった。40年ぶりに日の目を見られることを受けてジンは「レコーディングをした80年ごろのことが鮮明によみがえる。発売は奇跡的だ」と声を弾ませる。

 究極は、シゲが2007年に急逝し、15年からシゲのおい・垣花義毅とサポートギターのマサキが加わった。垣花はいま沖縄で最も勢いのある若手バンドの一つHoRoo(ホル)kies(キーズ)でキーボードとボーカルを務める。究極のファン層とは違う世代だが、究極の作品について「少し切なくなる曲と歌詞がリンクしている。当時の情景や、その時代を生きた人の心情が伝わる」と話す。アルバムは、垣花が2015年、自身の祖母(シゲの母)に贈った曲「君の町で」も収録している。

 ジンは「アルバム発売が新曲作りのきっかけになるのではないか」と話す。新生「究極」の本格始動にも期待が高まる。
 (藤村謙吾)