課題解決へ議論重要に 子どもの貧困<争点を洗う④>


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ

 県内の選挙では近年、社会課題とされている子どもの貧困や教育分野も主要な争点として問われてきた。6月7日投開票の県議選でも多くの立候補予定者が重要政策に掲げている。

 沖縄の子どもの相対的貧困率は29・9%(2015年度)と全国平均の約2・2倍で、3人に1人が貧困状態にある。県が18年度に実施したひとり親世帯実態調査によると、母子世帯の出現率は4・88%、父子世帯0・74%で、全国平均の2倍近い。進学率は高校が97・4%、大学が39・7%で、依然として全国で最も低い状況だ。

 16年、県議会は子どもの貧困問題に特化した「子どもの未来応援特別委員会」を設置。視察や学習会を実施するなど課題解決に取り組んできた。今年3月には、虐待を防止し、子どもの権利を尊重する「県子どもの権利を尊重し虐待から守る社会づくり条例」を全会一致で可決した。

 本紙が立候補予定者の64人を対象に実施した政策アンケートでは、子どもの権利条例の評価について、与野党を問わず52人(81・2%)が「評価する」と回答した。体罰への罰則規定については慎重な見方が多かった。子どもが相談しやすい環境の整備や保護者への支援強化を求める声もあり、今後も具体的な施策について議論が必要だ。

 「評価しない」と回答したのは3人で、教育委員会や児童相談所など関係機関の連携を強化するべきとの指摘があった。
 県は30億円の子どもの貧困対策推進基金を創設し、就学援助や放課後児童クラブの利用料軽減などに取り組んでいる。アンケートでは、多くの立候補予定者が教育費や医療費の負担軽減を施策として挙げた。教育分野は有権者の注目度も高く、議員には政策提案力と実行力が問われている。
 (’20県議選取材班)