コロナ経済政策、安倍政権と玉城県政の評価も鍵 沖縄県議選


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フェースガードを着用し、選挙カーから支持を訴える運動員=29日午後、本島南部

<解説>

 任期満了に伴う第13回県議会議員選挙が29日に告示され、9日間の選挙戦が始まった。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて県経済が冷え込む中、各陣営とも感染症対策や景気回復などを重要項目に掲げる。2018年10月に就任した玉城デニー知事にとって中間評価にも位置付けられ、与党が引き続き過半数を維持するのか、野党が勢力図を塗り替えるのかが最大の焦点となる。米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設、子育てや福祉など、さまざまな課題に対し各候補者は優先政策を主張して政策論争を展開、有権者に支持を求めている。 (’20県議選取材班)

 玉城県政発足後初となる県議選が29日告示された。県議選は、候補者が掲げる政策や思想信条などを勘案して有権者が地域の代表を選ぶ側面がある一方、市民生活全般に関わる予算や条例を提案する県政への評価の意味もある。

 新型コロナウイルス感染症の影響で県経済が危機に陥る中、選挙戦初日となる29日には、コロナ対策を訴える候補者が多く、コロナ禍に挑む選挙戦であることを印象付けた。新型コロナで疲弊する企業や世帯に対する支援拡充の必要性は党派を超えて一致している。有権者にとっては候補者が打ち出す政策の違いが見えづらく、安倍政権や玉城県政によるコロナ対策の実効性への評価も判断材料の一つとなりそうだ。

 県議会は県庁や県警などの県執行部が提案する予算案や条例案を審議し、住民の意思を行政に反映させる重大な役割を持つ。執行部と議会の関係は「車の両輪」に例えられることが多い。一方で県議選の投票率は低下傾向が続く。候補者には有権者の関心を高める政策論争が求められている。

 全国的に見て沖縄県議会は、与野党間の対立が激しい地域と言われている。とりわけ米軍基地から派生する意見書や知事の訪米予算などは野党が反対し、玉城知事を支える与党による賛成多数で可決されることもある。そのため、今県議選で与野党が逆転すれば、玉城県政が提案する事業や予算案は否決される事態も想定され、玉城知事は難しいかじ取りを迫られる。

 一方、県議会を党派ではなく、議員の政治姿勢で見た場合、仲井真県政下の2008年に実施された県議選以降、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する議員が多数を占める状況が続いている。辺野古移設問題は今選挙でも主要争点の一つとなっており、新基地建設に反対する勢力の議会構成がどう変化するかも焦点となっている。(吉田健一)