首里城焼失 県対応で評価分かれる<争点を洗う⑥>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 昨年10月31日に起きた首里城の焼失は県民に大きな衝撃と悲しみを与えた。火災から7カ月が過ぎ、全焼した正殿のがれき撤去は終了し、首里城公園内の様子も様変わりした。貴重な観光資源が失われた周辺の土産物店や飲食店には閑古鳥が鳴き、経済損失も大きい。早期の再建を求める声が上がっている。

 政府の首里城再建策を話し合う関係閣僚会議は今年4月、正殿の完成を2026年度に目指すことを柱とした工程表をまとめた。県も首里城復興基本方針を発表し、沖縄戦で失われた御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)の整備を検討するなど、国と県による再建計画が動き出している。首里城地下の日本軍第32軍司令部壕の保存、公開も有権者の関心を集める。

 一方、首里城の火災原因を巡り、那覇市消防局は「原因の特定は難しい」として、調査を終了した。県警も今年1月末で出火原因は特定できないとして捜査を終えた。火災への責任の所在についてさまざまな意見が上がっている。

 県議選立候補者64人を対象に、琉球新報が実施したアンケート調査では首里城火災に関する玉城県政の対応や再建費用の負担について意見が分かれている。

 玉城県政の対応について、「早期に対応している」などとして「評価できる」と回答した候補者は与党を中心に29人、「責任の所在が曖昧だ」などとして「評価できない」とした候補者は野党を中心に26人に上った。

 「どちらとも言えない」として判断を決めかねた候補者も9人いた。

 再建の費用負担については「国と県の双方が応分に負担するべき」と回答した候補者が29人と最も多かった。

 次いで「国が全額負担するべき」が23人、「県が全額負担するべき」が6人と続いた。

 (’20県議選取材班)
 (おわり)