「強い選手の動き研究を」 絶対王者超え成長 卓球 宇田 幸矢(琉球アスティーダ)<みんなにエール⑦>


「強い選手の動き研究を」 絶対王者超え成長 卓球 宇田 幸矢(琉球アスティーダ)<みんなにエール⑦>
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 2024年のパリ五輪出場が期待される卓球界の新星、宇田幸矢(18)=明治大=が今季、琉球アスティーダに加入した。世界ランクは昨年4月の94位から、1年で35位にまで躍進し、日本人では4位につけている。ことし1月の全日本選手権で日本人トップの張本智和に競り勝って優勝。「今までで1番うれしい優勝。成長した場面だった」と壁を越えて自信をつけてきた。

 2015年、中学2年で全国大会を制したが、翌年は2年下の張本に決勝で敗れて連覇を逃した。張本には18年全日本ジュニアでも決勝で完敗。18年の世界ジュニアと19年全日本ジュニアも2位と、優勝が遠かった。決勝の雰囲気や正念場での焦りなど「なぜ勝てないのか、いろいろと考えさせられた」と苦しんだ。

 ことしの全日本選手権の決勝。「格上の存在」という張本に勝つ自信はなかったという。試合は持ち前の強烈なチキータから攻勢をかけて残り1ゲームまで迫ったが、第5ゲームの10―8であと1点が届かず、以降は守勢に回った。追い上げられて、最終ゲームは0―4まで離された。

 「絶望的な状況だったけど1球ずつ分析していて冷静だった」。取り組んできたメンタルトレーニングが功を奏し、「そんなにうまく試合は運ばないよな」と引きずることはなく、目の前に集中できた。「守っていないで攻めていく」と腹を決めると、回り込みフォアで畳み掛けて11―9で勝利をつかんだ。「張本も勝てない相手ではない」と脱皮を遂げた瞬間だった。

 Tリーグでは昨季、木下マイスター東京のリーグ優勝に貢献し、ベストペア賞に輝いた。今季の目標はアスティーダの優勝やベストペアの連続受賞、世界ランクで20位以内に入ることだ。「今は上がり時。この調子のままいきたい」と飛躍を狙う。

(古川峻)

全日本選手権ジュニアの部に出場した小学6年の宇田幸矢=2014年1月(提供)

メッセージ

 卓球がうまくなりたい子どもたちには強い選手の動きをまねるなどしてもらいたい。ある選手がうまいと思ったら、そのプレー動画を見て研究する。イメージが頭に残るので、少しずつ近づけるように意識して練習する。コーチである父の『高い打点で打て』、『後ろに下がるな』という言葉が、今の攻撃的なプレーにつながっている。小さい頃はイメージできなかったけど、今やっていることが将来につながるはず。

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 新型コロナの影響で部活はできず、目標とする大会が中止となった子どもたちへ、県出身アスリートが自身の経験を振り返り、エールを送る。