普天間の移設先「分からない」が最多 即答できない理不尽な現実 平和教育高校生アンケート


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 高教組と沖縄平和教育研究会が実施した高校生対象の平和教育に関するアンケートで、米軍普天間飛行場の移設場所に関する意見を聞いたところ、「国外・県外に移設すべきだ」が29・8%となり、前回の15年調査より4・8ポイント減少して過去最低になった。4択のうち、最も多かったのは「分からない」で43・7%。「辺野古移設」は10・2%、「現状のまま」は16・3%だった。

 「分からない」は前回調査より7・7ポイント増加した。「辺野古移設」は1・4ポイント増、「現状のまま」は4・4ポイント減だった。

 沖縄平和教育研究会は、「分からない」が多数を占めたことについて、在沖米軍基地の成立過程やその役割についての知識不足だけでなく、県民投票で72%が反対しながら移設計画が進むことを目の当たりしているため「理不尽とも言える現実を前に、多くの高校生が即答できず『分からない』を選択せざるを得なかった」と分析した。

 在沖米軍基地全体については「全面撤去すべきだ」が8・3%、「整理・縮小すべきだ」が52・5%、「今のままでよい」が21・5%、「もっと強化すべきだ」が2%だった。

「復帰の日」の認識は低いまま

 沖縄が日本に復帰した日については、五つの選択肢から「1972年5月15日」の正答を選んだのは49・5%だった。選択肢ではなく記述式だった15年の前回調査より正答は37・1ポイント増加したものの、慰霊の日と比べると、復帰の日に対する高校生の認識は低いままだ。

 復帰の日を問う項目は2010年に初めて取り入れた。記述式で正解できたのは10年が13・1%と低かった。

 県教育委員会はこの結果などを受け、復帰40年の12年に復帰の意義を指導するよう各学校に通知したが、15年調査でも正解は12・4%にとどまっていた。

 復帰に関する知識は身に付いていないものの、沖縄戦の知識に関しては年々深まっている様子もうかがえる。「今年は沖縄戦が終わってから何年になるか」との問いは、正答が過去最高の71・7%だった。「慰霊の日は何をもとに決められているか」という設問も、正答の「牛島司令官が自決した日」を選んだのが過去最高の55・3%だった。

 沖縄歴史教育研究会は、戦後27年間の米軍支配が現在の基地問題につながっていることを踏まえ、米軍支配の歴史も平和教育として積極的に取り入れて教えるべきだと提言した。