雇用維持へ人材シェア 他社へ社員1年出向 情報サイト運営「パム」


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 旅行予約サイト「たびらい」や県民向けお出掛け情報サイト「ちゅらとく」などを運営するパム(那覇市、長嶺由成社長)は新型コロナウイルスの影響で売り上げが9割減少する中で社員の雇用を維持するため、企業間のワークシェアリングを始めた。他社で働くことを経験することで、社員個人の成長にもつなげたい考えだ。

 パムはすでに、観光業が元の水準に戻るのは難しいと見て希望退職を募り、約30人の社員を休業させている。休業中の社員を人材を必要としている企業に出向させ、パムと出向先企業の両方で雇用契約を結ぶ「在籍出向」の仕組みを活用する。出向先で提示する給与との差額をパムで負担し、社員の月給は維持する。ワークシェアリングの期間は最大1年で、終了後はパムに復帰する。社員にとっては雇用喪失のリスクを回避し月給を維持できることに加え、新しい仕事に挑戦する機会となる。

 5月22日に「首里石鹸」を運営するコーカス(那覇市、緒方教介社長)と連携。パムのウェブディレクターが首里石鹸のEC事業運営を担当している。同社感動部の安里さやかさんは「これだけ優秀な人材を採用すると費用がかかる。この仕組みはありがたい」と話した。

 パムは6月末までに10人のワークシェアリング契約を目指している。パートナー支援グループ人事総括チームの佐原輝哉マネージャーは「社員は地域で活躍できる人材になってほしいと思ってきた。地域全体で人材の成長機会を創出し、平時でもワークシェアリングが当たり前になるようにしたい」と語った。