<県議選私の訴え>那覇市・南部離島区 待機児童解消が急務、那覇軍港移設も争点


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 7日投開票の沖縄県議選に向け、各立候補者は県全体の課題や問題だけではなく、地域別の課題についても政策を訴えている。県内最大の有権者を抱える那覇市・南部離島区の課題を探った。(’20県議選取材班)

<那覇市・南部離島区>待機児童解消が急務/雇用・事業維持対応も

 県内最大の票田である県都那覇市を含む那覇市・南部離島区は、待機児童の解消、子どもの貧困解消など教育・子育て支援の拡充を掲げる候補者が目立つ。特に那覇市は県内で最も多くの待機児童を抱える。県子育て支援課によると、2019年4月1日現在の那覇市の待機児童は250人と、前年と比べ112人増え、待機児童解消に向けた取り組みは喫緊の課題だ。

 那覇市こどもみらい課によると、17年度以降、市内の待機児童は減少傾向にあったものの、近年は賃金上昇に伴う雇用環境の改善により女性の就業率が上昇し、待機児童を押し上げる要因となった。那覇市は20年度中の待機児童ゼロを目標に掲げているが、保育士不足などで達成は不透明な情勢となっている。

 一方、新型コロナウイルス感染症の影響で雇用を取り巻く環境は一変している。安心して子どもを産み育てる環境づくりに加え、雇用や事業の維持に向けた施策が急務で、県や市と連携した対応が求められる。

 昨年10月に消失した首里城の早期再建と首里城を中核とする周辺の地域づくりを公約に掲げる候補者も多い。政府は、首里城の再建に向けて、26年度までの正殿の完成を目指している。県は4月に首里城復興基本方針をまとめた。早期復元や復元過程の公開、周辺地域のまちづくりなどを方針として示しており、県や市との連携が欠かせない。

 那覇市区は前回県議選から久米島町など離島7町村が加わった。多くの候補者が離島住民の交通コストの軽減や格差是正など離島の不利性解消を掲げており、離島振興は一層取り組むべき課題となりそうだ。

 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設を巡る問題も課題であり争点となっている。移設先を巡っては、県や那覇市が推す北側案と、浦添市が提案する南側案があり、合意に至っていない。一方、那覇港管理組合(管理者・玉城デニー知事)は20年度内の合意を目指している。県政与党系は軍港移設そのものに反対する候補が多いが、中には県政の姿勢を支持する候補もおり、与党内で意見が分かれている。一方、野党系候補の多くは浦添移設に賛成の立場を示す。また与野党に関係なく「議論の推移を注視する」との意見もあった。
 (おわり)

県議選2020 特集ページはこちら