クロマグロ、漁期まっただ中で漁獲停止 資源保護「知事管理量」94%


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「大輝丸」から水揚げされたクロマグロ。この日が今期最後の水揚げとなる=4日午前0時、那覇市の泊漁港

 県は5日、沖縄近海で捕れる30キロ以上の大型クロマグロ(本マグロ)の漁獲量が、沖縄県に割り当てられた「知事管理量」の95%を超えそうなことから、水揚げと流通を禁止する「採捕停止命令」を発出した。4日時点の漁獲量が、知事管理量の94%に当たる195・5トンに達した。県内のクロマグロの漁期は4~7月だが、6日から漁獲ができなくなり、漁期のまっただ中に水揚げを終えることとなった。

 世界的にマグロの需要が高まったことで、乱獲によりクロマグロが枯渇している。国内では2010年から、クロマグロの漁獲制限が始まった。県も18年から「知事管理量」を設定し、資源管理を始めた。

 12年の漁獲量は82トンと過去20年間で最低だったが、資源管理を始めたことで数は回復しつつある。20年度前期(4~7月)の知事管理量は前年度比93・7トン増の207・7トンだった。

 漁業者は資源管理を理解する一方で、漁期に採捕停止になることにもどかしさを感じる。高値で取引されるクロマグロの漁期は、漁業者にとって一番の稼ぎ時だからだ。

 4日深夜に那覇市の泊漁港で今期最後のクロマグロの水揚げをした大輝丸の當眞昇船長は「今が一番クロマグロが捕れる時期。ストップが掛かるとどうしようもない」と話す。採捕停止後は、キハダマグロやメバチマグロを狙う。ただ、クロマグロは特別だと話し、「クロマグロを捕るため一生懸命だ。1時間以上掛かって捕れたときはうれしい」と目を細める。

 那覇地区漁業協同組合の山内得信組合長は、漁業者の収入減を懸念する。「夏場は台風で操業ができないため、漁業者はクロマグロのシーズンに生活を懸けている。漁期の途中で漁獲を絶たれてしまい、収入が見込めない」と話す。

 新型コロナウイルスの影響で外食産業の需要が落ち込み、魚価も低下した。航空減便によりクロマグロの9割が県外に輸送できない事態にも陥ったが、県漁業協同組合連合会によると、外出自粛解除や航空便の回復などで水産物の流通も戻りつつあるという。