字名に「尖閣」使用へ 石垣市議会で可決の見通し 野党は慎重姿勢


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尖閣諸島(資料写真)

 【石垣】石垣市は、行政区域にある尖閣諸島の字名を「市登野城」から「市字登野城尖閣」に変更する議案を、9日に開会する市議会6月定例会に提案する。議案は22日の最終本会議で採決され、与党の賛成多数で可決される見通し。一方、野党側は中国や台湾との緊張を高める可能性もあるなどとして慎重姿勢を示している。

 字名変更では、尖閣諸島の「南小島2390」「北小島2391」「魚釣島2392」「久場島2393」「大正島2394」の前に「字登野城尖閣」が付く。小字と地番に変更はない。施行は10月1日を予定している。

 中山義隆市長は取材に対し「(石垣島の)登野城と尖閣諸島の登野城が混同することもあったので、明確にするための変更だ。手続きの準備を終えたため提案しただけで、提案のタイミングに意図はない」と述べた。

 尖閣諸島の字名変更を巡って、中山市長は2017年の市議会9月定例会で、変更に向けた議案を同年12月定例会に提出する意向を示したが、その後、行政手続きが整っていないとして提出は見送った。市議会は18年6月定例会で、与党の仲間均氏が「字登野城尖閣」を付け加えるよう字名変更を求める決議を提出、与党の賛成多数で可決した。

 仲間氏は「尖閣諸島なのに字に尖閣がないのがおかしかった。市の行政区域であることを明確にするための変更だ。中国公船の相次ぐ領海侵犯や漁船追尾がある今だからこそ明確にするべきだ」と強調した。

 一方で野党連絡協議会長の宮良操氏は「尖閣諸島が市の行政区域であることに異論はないが、新型コロナウイルスで社会が大変な時期に提案する真意がよく分からない。台湾や中国との緊張が高まる可能性もある」と話した。