【記者解説】与党、薄氷の勝利 知事、求心力への影響大


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄県議選の開票作業=7日夜、那覇市

 玉城デニー県政下で初の県議選は、与党が議席を二つ減らしたものの、かろうじて過半数を維持した。野党・中立勢力は現有20議席から23議席に伸ばした。「薄氷の勝利」とも言える選挙結果は、知事の影響力低下にもつながりかねず、有権者から一定の厳しい結果が突きつけられた格好だ。今後の県内政局にも影響を与える可能性が高い。

 与党側は今選挙を米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設を念頭に「改めて反対の民意を示す選挙」と位置付けていた。だが新型コロナウイルスの影響で運動量が追いつかず、同問題を巡って明確な対立軸をつくり出すことができなかった。

 宜野湾市区では与党新人が1万978票を獲得してトップ当選を果たした。その結果、与党現職が落選したことで、野党候補が当選を果たした。与党候補の間で票の分配ができなかった結果、宜野湾、沖縄などで野党が議席を伸ばすことにつながった。

 一方、19人の公認候補を擁立した自民は那覇市・南部離島区や国頭郡区などで議席を取りこぼした。感染症を巡る対応や前東京高検検事長を巡る問題などで内閣支持率は下落傾向にあり、無党派層の支持が伸び悩んだとみられる。与党と野党・中立の議席数の差が縮まり、県議会内で与野党対立が先鋭化する可能性もある。告示前の前哨戦から玉城知事と距離を置く与党議員もおり、与野党の勢力図が変わる可能性もある。
 (池田哲平)