県議選 与党多数で新基地阻止の後ろ盾に 県政運営の戦略に幅も


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 7日投開票の県議選で与党が多数を維持したことは、名護市辺野古の新基地建設阻止を目指す玉城デニー知事にとって後ろ盾となる。米軍基地問題に取り組むための予算確保や訴訟の提起について議会の承認を得やすいためだ。

 沖縄防衛局が4月に申請した設計変更を玉城県政は承認しない構えで、選挙結果にかかわらず新基地建設に固執する政府との対立は激化する見通しだ。法廷闘争も想定される中、県議会の構成は重要な意味を持つ。

 野党多数の場合、裁判や訪米の費用を予算から削られるなど玉城県政にとって「足かせ」となる可能性があった。県が政府相手に提訴する際に県議会の承認が必要な場合もある。安定して議会の同意を得られる状況下なら、玉城県政は戦略の幅を維持できる。

 ただ、改選前と比べて与野党の差が詰まったことで基地問題について各会派の理解を丁寧に得る努力がこれまで以上に必要になる。辺野古新基地以外の米軍基地問題や自衛隊に対する姿勢では与党内でも相違や濃淡がある。玉城県政がそれぞれの意見をどう政策に反映させるか真価が問われる。

 過去に県議会は多数を占める与党が主導し辺野古新基地建設を念頭に埋め立て用土砂の搬入を規制する条例案を作り成立させた。超党派で県政の姿勢より踏み込んだ内容の決議・意見書を可決したこともある。今回の改選後も、基地負担軽減に向け議会独自の取り組みを展開できるかが注目される。
 (明真南斗)