石垣陸自配備地のカンムリワシ 市民団体が営巣活動守る 10月までの工事中止を市に要請


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天久朝市教育部長(左から2人目)に要請書を手渡す石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会の嶺井善共同代表(右)ら=3日、石垣市教育委員会

 【石垣】石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画を巡り、石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会は3日、カンムリワシの繁殖期に当たる10月までの工事中止などを沖縄防衛局に求めるよう市に要請した。市民連絡会のメンバーが3日、市教育委員会を訪れ、天久朝市教育部長に要請書を手交した。

 現場周辺で国の特別天然記念物カンムリワシの営巣活動が確認されたため、沖縄防衛局は5月20日から造成工事を中断している。しかし、沖縄防衛局は市や有識者と保全対策を協議の上で工事を再開する方針を示している。

 平得大俣への駐屯地建設工事では、昨年もカンムリワシの営巣活動が確認されたとして、4月下旬に重機を使用する作業が中断された。

 その際、沖縄防衛局は本島の有識者から、距離が離れているため突発的に大きな機械音が発生するような作業以外は工事継続に支障はないなどの意見を受けたとして、1カ月後に工事を再開した。有識者の氏名は明らかにされなかった。

 市民連絡会は要請書で、昨年の対応について有識者の情報開示がされなかったため透明性を欠くとの認識を示し、工事再開後の営巣活動がどうなったのかも確認されていないと指摘した。

 その上で市に対して、今回の再開に向けた沖縄防衛局との協議では、有識者の情報公開や有識者の「知見」の根拠となる論文提示、複数の地元研究者らからの意見聴取を求めるよう要請した。

 市民連絡会は、沖縄防衛局にも同様の要請をするとしている。