デパートリウボウが2020年2月期決算で7期ぶりに赤字に転じた。今期も新型コロナウイルスの影響が続くことが見込まれるほか、リウボウグループ全体の売り上げを引き上げてきたコンビニ事業も観光客の減少で厳しい経営環境に置かれている。その中でどうかじ取りをしていくのか。リウボウホールディングスの糸数剛一会長に聞いた。
―新型コロナの影響は。
「21年2月期決算はこのまま行くと悲惨な状況になる。デパートだけでなく、ずっと好調だった沖縄ファミリーマートも今まで見たことがない悪い数字になっている。リウボウグループは構造改革をして持ちこたえるつもりだが、周りがバタバタ倒れてしまうことを一番懸念している。職を失ったり、給与が激減すると人は買い物を控える。最も影響を受けるのは付加価値の高い商品を扱う百貨店やエンタメだ。自分たちの商売を考えると、周りが倒れないようにしないといけない」
―特に厳しい百貨店の生き残り策は。
「基本的に考え方は百貨店もコンビニもスーパーも一緒だが、一つ目は独自性。魅力ある商材や百貨店だけで受けられる高度な接客スキル。ここに入ったときしか感じられない空気感をつくりあげることが重要だ。二つ目は小売りに限らないことだが、構造改革が必要だ。コロナの第2波、第3波や新たな感染症の脅威もある。この状態で変われない会社は平常時は絶対に変われない。抜本的な改革ができなかったら、今回は何とか持ちこたえても次は持たない。三つ目は、本来コロナと関係なくやらないといけないが、日本は市場自体が縮小しているので、新しい市場と新しい顧客を創造すること。この三つは生き残って成長していく企業として必須のポイントだ」
―構造改革で具体的に考えていることは。
「働き方改革の本丸は兼業、副業を認めること。給料を払えないから副業しなさいという意味ではなくて、新しい経験をすると発想が広がる。仕事の質は経験の数。多くの人が経験をたくさん積めばいい。今は働き方を変えるチャンスでもある」
「リウボウの強みは先輩たちが何十年もかけて築き上げてきたブランドで、これは絶対に壊してはいけない。しかし規模は全国から見たら中小企業なのに、悪い意味で沖縄の大企業という意識が強すぎる。中小の強みはスピード。思い付いたアイデアをすぐ実行すれば結果が出る。スピードはある地点に到達する速さだけでなく、変化に対応する俊敏性と判断、決断のスピードがもっと重要だ」
(聞き手 玉城江梨子)