沖縄県の畜産物輸出44%増 ハム・ソーセージに「巣ごもり需要」卵も倍増


社会
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 県畜産振興公社やJAおきなわ、畜産業者などでつくる県畜産物輸出促進協議会(運天修会長)は9日、2019年度の県産畜産物輸出量の実績を発表した。香港や台湾、シンガポールなどに輸出した畜産物は前年度比44・3%増の283・9トンだった。輸出先の7割を占める香港で抗議デモが相次ぎ、巣ごもり需要が生じたことでハムやソーセージなどの加工品が飛躍的に伸びた。一方で近年増加を続けていた豚肉は、県内で発生した豚熱(CSF)の影響で減少に転じた。

 アグー豚を含む豚肉は前年度比7・7%減の103・1トンと減少した。19年12月までは前年を上回るペースで順調に輸出されていたが、20年1月以降うるま市と沖縄市で豚熱が発生したことで、精肉の輸出が停止した。予防的なワクチン接種を続ける間は基本的に輸出ができないため、20年度はさらに大幅減が見込まれる。

 鶏卵は同2倍の133・1トンだった。香港のスーパーで県産卵コーナーが常設されたことや、県産卵を専門に扱うシンガポールの飲食店が店舗を増やしたことが輸出拡大につながった。

 牛肉は同11・4%増の14・5トン、鶏肉は同22・6%減の1・7トンだった。県内の食肉加工処理施設の移転に伴い、11月以降は鶏肉の輸出を休止したことから減少した。

 ハムやソーセージ、ギョーザなどの加工品は、同10倍の31・2トンで、急増した。外食文化が強い香港で抗議デモが長期化し、外食を控えるようになったことで、家庭で簡単に調理できる加工品の需要が伸びた。

 加熱処理をした豚肉の加工品は輸出できる。同協議会の運天会長は「豚肉が輸出できない分、加工品の輸出に力を入れていく」と話す。アジア各国と地理的に近い沖縄産の畜産物は、新鮮さや輸送コストの低さなどの理由からアジア圏で人気が高い。同協議会は20年度の輸出量を、200トンに設定する。新型コロナウイルスの影響で先行きが不安定な一方、生活様式の変化で今後も加工品の需要増が期待できるという。