県政与党「会派おきなわ」から新派の動き ちらつく「令和の会」の影


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 30日開会予定の県議会6月定例会を前に、新たな会派結成に向けた県政与党内の水面下の綱引きが本格化している。改選前に統一会派を組んでいた社民と社大は今期でも会派を組んで最大会派となる見通し。共産は現在の6人から7人に増える。焦点は無所属議員で構成する会派おきなわの行方で、会派長の瑞慶覧功氏は無所属の山内末子氏と合流し、新会派を結成する考え。一方、同会派幹事長の平良昭一氏や赤嶺昇氏は新垣光栄氏と共に会派を存続させる考えで、会派構成は新人県議の動向が鍵を握る。

沖縄県議会(資料写真)

 12日には、知事公舎で玉城デニー知事と当選議員、県幹部、知事の後援会幹部を交えた政策調整会議が開かれた。出席者によると、玉城知事は野党・中立の「非与党」が議席を伸ばしたことを念頭に「与党として結束していこう」と呼び掛け、与党との意見交換の場を増やす考えを示した。

 一方、議長は最大会派となる見込みの社民・社大会派から選出される公算が大きく、5期目の比嘉京子氏や、4期目の崎山嗣幸氏が有力視されている。

 改選前の第12期(欠員2)の会派は沖縄・自民(14)、社民・社大・結連合(11)、おきなわ(8)、日本共産党(6)、公明党(4)、無所属の会(2)の6会派と無所属県議1人となっている。


おきなわ・平良幹事長「知事支える」

 県政与党の新たな会派構成を巡り、鍵を握るのが無所属議員でつくる会派おきなわの動向だ。幹事長の平良昭一氏は12日、本紙に対し「我々は一貫して翁長(雄志)前知事、そして玉城デニー知事を支えてきた。これからも玉城知事の右腕として県政を支えていきたい」と話し、引き続き「会派おきなわ」として活動していく考えを示した。

 会派おきなわは2016年の前回県議選後に「県民ネット」から現在の会派名となった。無所属の立場から主に「オール沖縄」の保守・中道層や経済界への支持拡大を図ってきた。18年5月には、故翁長雄志前知事の2期目に向け政治・経済懇話会を立ち上げるなど、社民や共産などの革新政党と連携しつつも独自の動きを取ってきた。

 一方、会派おきなわを巡っては、一部議員は「オール沖縄」誕生の立役者でもある平良朝敬元沖縄観光コンベンションビューロー会長と近く、今県議選でも平良氏の支援を受けた。平良氏は安慶田光男前副知事らと共に3月、与野党逆転を目的に政治集団「21令和の会」を結成。与党内からは「議員の引き抜き」工作に警戒感が広がっていた。

 会派おきなわに残る平良昭一氏と赤嶺昇氏は令和の会について、本紙の取材に対し「我々が『令和の会』に入るよう誘われたこともなければ今後入ることも絶対にない。県政与党の一員として会派結成の原点である『沖縄』県民のために活動を続ける」と述べた。一方、会派おきなわのメンバーで今県議選で落選した玉城満氏は平良氏らと同様の見解を示した上で「知事の番頭役として当選できず悔しい。玉城知事を引き続き支えていきたい」と語った。