大型MICEに民間資金 リゾートとITを駆使 3密回避で修正も 県が報告書


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 沖縄県は12日、西原町と与那原町にまたがる中城湾港マリンタウン地区で計画していた大型MICE(マイス=国際会議、展示会など大型イベント)施設の整備について、行政と民間が連携して公共サービスを提供する「パブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)」の手法で事業化する方針を正式に発表した。県はこれまで一括交付金を活用して施設を建設する方針だったが、同交付金が使えなくなったことを受けて、周辺エリアも含めて民間企業のノウハウや資金を活用して整備する方針に転換した。

 県による民間業者への聞き取りでは、新型コロナウイルス発生後も開発意欲は落ちていないという。周辺施設や土地利用の官民連携の在り方などを踏まえ、県は10パターンの整備方法を検討しており、2021年度に新たな基本計画を策定する方針だ。

 MICEは、「会議」などのミーティング(M)、「社員研修、報奨旅行」のインセンティブ(I)、「国際会議、学会」のコンベンション(C)、「見本市、展示会」のエキシビション(E)―の頭文字を取ったビジネス観光の総称。

 県は昨年8月から今年3月末までに国内外のMICE施設の視察や専門委員会の意見聴取などを行い、調査報告書を作成した。民間資本を呼び込むための差別化が必要として、沖縄に優位性のあるリゾートと最先端IT技術を駆使したエリア形成などの方向性を示している。

 一方、大型MICE施設の規模について、従来の計画は展示場と多目的ホールなどの一体的利用で4万平方メートルを確保し、コンサートが開催できる機能も含んだ施設だった。しかし、新型コロナ対策で3密回避が求められていることなどから、改めて施設の規模やコンサート機能の有無も含めて再検討するとした。

 玉城デニー知事は「民間業者の参入可能性があることなどを確認した。MICEについてはオンラインとライブ(現実)を融合したハイブリッド型を模索していく動きが見られ、新常態に合わせていま一度在り方を検討する」と述べた。

 大型MICE施設の周辺には高級ホテルやビジネスエリア、ビーチ、遊歩道などの整備を構想する。県は10パターンの計画内容やそれぞれの事業額、企業に聴取した具体的な反応などは非公表とした。