平良海馬 雄星の背中に学び、一皮むけた20歳右腕 狙う防御率2点台<プロ野球開幕、期待の県勢>


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楽天との練習試合で力強い投球を見せる西武の平良海馬=9日、メットライフドーム(球団提供)

 埼玉西武入団3年目の平良海馬(20歳、八重山商工出)。昨季7月にプロ初登板を果たし、26試合に出場。防御率3・38とまずまずの成績を残すなど、急成長を遂げている。プロ入り後、体重を10キロ増やしてパワーをつけたこともあり、強みの直球は高校時代の最速152キロから158キロに上がった。「開幕後に元気な姿を見せられるように、しっかりと調整している」と意欲は十分だ。

 19年のオフに米大リーグ、マリナーズの菊池雄星投手に願い出て、自主トレに参加したことが成長の背景にある。身体の仕組みを見詰め直す座学を含め、1日中密度の濃いメニューで鍛えられた。「胸、腕、体幹、下半身、全てで(トレーニングの)量が多く、きつかった」。ベンチプレス130キロ、スクワット180キロと、いずれもそれまでより重い重量をこなせるようになった。

 生活への意識も変わり、以前は関心が低かった食事にも気を配るようになった。サラダ、肉、炭水化物と食べる順番など細部にまでこだわっている。チームの活動自粛中は英語の習得に挑戦。「去年、自主トレでアメリカに行った時に何も話せなかった」。憧れの菊池投手に再び教わる機会につなげるためだという。

 5月18日から選手をグループに分けた練習が再開され、6月2日の練習試合の初日に登板した。「回転の軸を意識している」と伸びのある直球を追究する。すでに5試合に登板。「練習試合よりも開幕してから調子が上がればいい。普段通りピッチングをしている」と19日の開幕に向け、悠々と構えるのは自信の表れだろう。

 「昨年は終盤に疲れてきた。今年はずっと試合に出続けないといけない。そのための体力、食事、生活の見直しをやってきた」。昨季を越える防御率2点台へ向けて覚悟を示した。
 (古川峻)