キングスU15、逆境で鍛錬 役割別リーダーで成長促す


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順番にフリースローを放つキングスU15の選手たち=13日、南城市の新里公民館

 昨年12月の全国U15選手権プレ大会沖縄県予選と今年1月の県中学新人選手権を続けて制し、中学バスケで存在感を増す琉球ゴールデンキングスのユースチーム「キングスU15」。新型コロナウイルス禍での休止を経て、6月2日に活動を再開した。大会日程の見通しは立たないが、個々の能力向上に主眼を置いた目標設定や、主将以外にも選手たちに役割を与えるなどユニークな育成方針で強化する。

 13日、南城市の新里公民館での練習では接触のないドリブルや合わせパスからの外角シュートなどで約2時間にわたり汗を流した。

 休止期間中、選手たちは山城拓馬ヘッドコーチ(HC)がSNS上で課したドリブルの課題などをこなしてきた。ただ、本格的な動きはできなかったため、今は運動機能の回復やけがの防止を目的に強度を軽くした内容だ。

 大会日程が不透明な中、山城HCは(1)バスケができることに感謝し、心の成長を図る(2)プレーに対する共通理解(3)なりたい自分になるために努力する―の三つをテーマに掲げる。「大会がいつ開かれるか分からないから目標設定が難しいではなく、大会はあくまで目標達成への過程として日々取り組みたい」と個々の能力やチームの成長に焦点を当てる。

 選手たちは目標達成のために必要な項目をシートに書き出す「マンダラチャート」を作成した。

 それぞれが自身の能力を見直すため、選手ごとに役割を設定し、責任感を持たせる取り組みも始めた。主将や副主将のほか、生活面での模範になる「ライフリーダー」、ドリブル技術などを仲間に教える「スキルリーダー」などを指名。率先して声を出す「ボイスリーダー」の一人、うるま市立あげな中2年の山岸大夢は「声出しは自分の課題。疲れている時やプレー中、仲間に声を掛けられるようになりたい」と自身を奮い立たせる。

 練習再開後は新1年生5人もチームに合流した。「高いレベルでバスケがしたい」と、強い向上意識で加入した金武中1年の天願瑠偉は「早く先輩たちと一緒に得点に絡めるようになりたい」と気合を入れる。1年のリーダーとして意見の集約も担い、心身の鍛錬に余念がない。

 チームは昨年、全国のBリーグユースチームが頂点を競うU15チャンピオンシップで初の予選突破を果たしたが、決勝トーナメント初戦で敗れ、8強止まり。悔しい経験を胸に刻む新主将の須藤春輝(那覇市立松島中3年)は「いつ試合があってもいいように準備していく。全国制覇を目指したい」と断言した。
 (長嶺真輝)