辺野古新基地工費膨張 計画崩れ、見通し甘さ露呈


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<解説> 名護市辺野古の新基地建設を巡る工事で、契約変更による増額や工期延長が繰り返されている。政府は秋田、山口両県で予定した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備について、ミサイル改修に要するコストや期間を理由に「合理的ではない」として計画を停止した。地元の反対を押し切り、見通しの甘さゆえに工期と工費が膨張してきた辺野古の計画は果たして「合理的」なのか、疑問は尽きない。

 沖縄防衛局の変更契約調書には、変更理由の欄に「計画調整」や「現場精査」などの文字が並ぶ。ボーリング調査の段階から埋め立て土砂が投入されている現在まで、その場しのぎで発注がなされ、変更ありきで工事が進んできた実態が浮かび上がる。

 辺野古の工事には2018年度までに1471億円が支出された。防衛省は総工費を9300億円と説明するが、これまで同様に契約変更で増額が繰り返されることを踏まえれば、さらにコストは膨らむと考えるのが自然だ。

 安倍晋三首相は16日、イージス・アショアの配備計画停止について「地元に説明してきた前提が違った」と語った。辺野古の工事を進める理由として政府が繰り返す常套(じょうとう)句は「一日も早い普天間飛行場の危険性除去」だが、返還期日は2030年代までずれ込んでいる。明らかに計画の“前提”は崩れている。
 (當山幸都)