体験者への感謝 言葉に 「平和の詩」朗読 髙良朱香音さん


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「平和の詩」に選ばれた髙良朱香音さん=19日、那覇市首里真和志町の県立首里高校

 23日の「慰霊の日」に行われる沖縄全戦没者追悼式で、平和の詩「あなたがあの時」を朗読する県立首里高3年の髙良朱香音(あかね)さん(17)が19日、同校で記者会見した。自作の詩について、髙良さんは「戦争を体験して生き延びてくださった方に、感謝を言葉で伝えたいと思った」と作品に込めた思いを語った。

 髙良さんは小学校の時に読み聞かせで触れた絵本や平和学習の講話、ガマでの追体験など、これまで沖縄戦に関して見聞きしたことを組み合わせ、「今を生きている自分から戦争体験者に何を伝えられるか」という視点で詩を書いた。

 詩はガマの真っ暗な中での想像から始まる。沖縄戦の前、社会が戦時色に染まる中、何も分からない幼い子どもの様子、兄や姉が人を殺すことを習い学校に行けなくなったこと、沖縄戦で逃げ込んだガマの中では母親が泣く子どもを窒息死させるよう強いられた話などを盛り込んだ。

 「あなた」という二人称で戦争体験者に幾度も呼び掛けた。戦争を生き延びた「あなた」が「勇気を振り絞って語ってくれたおかげで」平和の尊さを知ったとし、「(体験者が)つないでくださったものを私がどう平和につなげていけるか、その思いが伝わったら」と願いを込めた。

 朗読者に選ばれたことは「びっくりして素直にうれしくて、家族も喜んでくれたが、不安や恥じらいが大きくてすごく悩んだ」という髙良さん。それでも「この詩を聞いた戦争体験者の方が少しでも気持ちが楽になり、癒やされてくれたらいいなと思う。まっすぐに届いてほしい」と意気込んだ。