嘉手納基地駐機場整備、文化財調査などで2カ月遅れ 騒音など被害長期化避けられず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【中部】米空軍が嘉手納基地内で進める、第353特殊作戦群の駐機場エリアの拡張工事が、文化財調査の影響で当初計画より約2カ月遅れていることが19日、分かった。米軍は2019年2月上旬に着工し、工期は約2年としていたが、琉球新報の取材に21年4月ごろまでずれ込むことを明らかにした。工事の期間中、民間住宅地に隣接する「パパループ」と呼ばれる元駐機場が使用され、周辺住民からは騒音や悪臭被害を訴える声が相次いでいた。工期の延長で住民の負担増が懸念される。

 駐機場エリアの拡張を含む設備増設工事全体の完了めどについて米軍は「現時点で未定」と回答。その上で「完了後は特殊作戦群の能率を向上しつつ、周辺住民に対する騒音被害の軽減が期待できる」と強調した。

 設備増設予定地から国道58号を挟んだ海岸沿い一帯には県指定史跡の野国貝塚群があり、米軍は13年以降、予定地内で文化財調査をしている。工事の進捗(しんちょく)について米軍は、新型コロナウイルスの影響で作業員が不足していることにも触れたが「工事への直接的な影響はない」と説明した。

 パパループから約100メートルの距離に住む照屋唯和男町議は「MC130特殊作戦機からの騒音や悪臭に加え、最近は外来機やヘリの使用も頻繁で生活に支障を来している。一刻も早くパパループの使用を中止してほしい」と訴えた。

 米軍が「特殊作戦群の関連施設が広範囲に分散配置されているため、1カ所に統廃合する」ことを目的に実施している設備増設工事は13年に表面化して以降、基地機能強化につながるとして周辺自治体が反対していた。拡張後はCV22オスプレイの訓練拠点となる恐れも指摘されている。(当銘千絵)