ぶっちぎりの優勝誓う 重量挙げ 山城英寿(南部工3年) 未来つむぐ夏(1)


社会
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県高校総体での優勝、自己記録更新に向け記録を伸ばし続けている南部工の山城英寿=13日、豊見城市の豊見城高

 “万年2位”に甘んじてきたからこそ、最後の大会でぶっちぎりの優勝を誓う。南部工ウエイトリフティング部のエース、102キロ超級の山城英寿(南風原中出、3年)は、7月開幕の県総体で、昨年の全国高校総体1位記録を11キロ上回るトータル270キロ(スナッチ120キロ、ジャーク150キロ)を目標に鍛錬する。4月から同校で指導に当たっている宮城篤監督との二人三脚で表彰台の頂点を狙う。

 13日、豊見城高で行われた3校の合同練習。課題とするジャークのセカンドの引きつけ、上半身の動きを繰り返し動画で確認する2人の姿があった。「もっと蹴り上げて」。宮城監督が撮影した動画を2人でのぞき込み、記録更新に向けての修正が続く。

 高校で柔道から重量挙げに転身し、競技歴わずか1年で全国高校選抜5位入賞と頭角を現した。ただ、同じ階級の1学年上には国体、全国総体に連続出場していた沖縄工の山田俊輔(沖縄工出)がいた。山田に追いつけ、追い越せと挑んだ2019年県総体はトータルで1キロ及ばず、続く全国総体は9位に終わった。

 昨年の悔しさをエネルギーに練習に励んでいた中、全国総体中止が決まり一度は心が折れかけた。「気持ちの整理ができなかったが、監督さんにまだあきらめるな、と声をかけてもらい切り替えられた」。好敵手であり、目標でもあった山田がいない今「山田先輩のように、後輩たちの目標となる姿を見せたい」と力強い。

 新型コロナウイルスで練習がままならない期間も、できることを続けてきた。特に注力したのはスクワットによる下半身強化だ。4月から山城のフォーム修正に取り組んできた宮城監督は「下半身の素早く安定した動きを確実なものにするため、スクワットを徹底させた」と説明する。休校中もフォームの修正、下半身強化トレーニングの動画を監督に送り、指導を仰いだ。

 基盤となる下半身に特化したトレーニングのおかげで、6月に入ってから自己記録を更新し続けている。「今はゾーンに入っているので、日に日に調子も上がっている」と絶好調だ。宮城監督も「素直な子なので、言われたことをどんどん吸収して伸びしろがある」と、3年間の集大成となる県総体での記録更新に期待は高まる。

 全国総体はなくなったが、自分との闘いに打ち勝つ絶好の機会になると信じ、力強くシャフトを握り前を向く。 (上江洲真梨子)

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県高校総体が7月18日に開幕する。新たなステージに向け上位を狙う選手がいれば、競技生活を締めくくる集大成として活躍を期する選手がいる。思いはさまざまだが、それぞれが新たな未来をつむぎ出す特別な夏の舞台がもうすぐ幕を開ける。全国インターハイは中止となったが、前を向き奮闘する選手の姿を追う。 (随時掲載)