学校、心のケアに苦心 再開1カ月「息切れ」の心配と「最悪だった休校時期」


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 新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時休校が解かれ、学校が再開してから21日で1カ月が経過する。

 再開直後は分散登校が行われていたが、現在は通常授業に戻り、部活動も解禁された。学校が活気を取り戻しつつある半面、長期休校は児童生徒のストレスになっていたとみられ、欠席者増などの兆候が見え始めている。学校現場は心のケアに力を入れている。

県立浦添商業高校の1年生にリラックス法などを教えるスクールカウンセラーの鮫島貴子さん=18日、浦添市伊祖の同校

■欠席

 県教育委員会は再開後に欠席者が増えている懸念があるとして、実態調査に乗り出した。スクールカウンセラーの派遣回数を増やすなど、調査結果を基に学校の対策を後押しする予定だ。

 那覇市内のある中学校校長は「再開直後、長い休みで学校のことが気になったのか、不登校だった生徒が登校してきた。しかし、1カ月が経過し、また来なくなっている」と明かす。

 さらに「最悪だったのは休校に入ったタイミングだ。新学年への引き継ぎが難しく、前の学年から継続して支援してきた生徒と関係が途切れてしまった」と語る。

 各学校では、文部科学省が示した「新しい学校の生活様式」に乗っ取り、「3密」を避ける対策が続いている。養護教諭は消毒作業や、先延ばしになっていた身体測定、内科検診の調整業務に追われながら、生徒の心のケアにも気を配る。

■息切れ

 「入学おめでとう。高校生になった実感湧いてる?」

 18日、県立浦添商業高校では1年生を対象にしたカウンセリング講話が行われていた。スクールカウンセラーの鮫島貴子さんが生徒に問い掛けると、生徒はうなずいたり首をかしげたり、さまざまな反応を見せた。

 現在の高1は感染不安の中で受験に臨み、入学式も約1カ月半遅れた。コロナ禍に振り回された世代だ。授業時数確保が課題となる中、同校は一部の授業を取りやめ、カウンセリング講話に充てた。

 鮫島さんは「集団生活になじめない子は、学校再開後に頑張って登校していたと思う。しかし、そろそろ息切れするかもしれない」と、今後のケアの重要性を説く。生徒だけでなく、多忙化する教職員にも疲れが見えているといい「生徒も先生も、何か気になることがあったら相談して」と呼び掛けた。

(稲福政俊)