空手演武、動画で狙え全国上位 インターハイ代替 研ぎ澄ます沖縄県2選手


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大会はインターネットで開催され、選手は主催者に形の動画を送信する

 全国高校総体の中止を受けて、全国高体連空手道専門部がインターネット上で個人形競技のグランプリ(GP)を独自に開催している。参加資格を持つ3年生が挑戦し、21日に試合に使用する動画の受け付けが締め切られた。昨年8月の南部九州総体で1ラウンド敗退の新城志(コザ)と2ラウンド敗退の新屋乙葉(前原)にとって雪辱を期す舞台だ。2人は渾身(こんしん)の形で上位進出を目指す。
 (古川峻)

 新城はこれまで部分的な技は周囲から全国上位クラスと評価されていたが、見せ方など全体の流れで力を発揮できない弱さがあった。リズムをつかむため、6月から形を通しで反復し始めた。「全神経を集中させながら全力疾走して、急に止まり、また走る感覚」。厳しい稽古だが、苦しい時はあえて「楽しい」と叫んで自らを鼓舞した。

 全国総体が中止になった4月以降、意欲を失いかけたが、独自大会開催決定を受け、本格的に練習を再開。昨年の全国総体と比べ「練習量、質ともに上回っている」と成長を実感する。

切れのあるパープーレンを演武する前原高の新屋乙葉=19日、前原高
迫真のスーパーリンペイを披露するコザの新城志=18日、沖縄市武道場

 18日は、2ラウンドに使うスーパーリンペイを撮影した。試合と同様に精神を集中させ、緩急を際立たせることに意識を高めた。「上出来だった」と1回で終わらせた。「16位以上に残ることを前提にすぐに次の形を練習する」と準備を続ける。

 県新人、春季を制した新屋は独自開催の全国大会について「3年全員に機会が与えられている」と感謝する。仲間と共に出場し、「一緒に空手をやる最後の夏。精一杯やりたい」とひたむきに取り組んでいる。

 形が専門だが、部活休止の影響で落ちた体力を取り戻そうと練習に組手も取り入れた。「下半身が強くなるし、瞬発力が鍛えられる」と持ち味のスピードに磨きをかける。3年最後の県総体で出場する団体組手に懸ける思いもある。「毎日が忙しい。時間が足りない」と部活以外の時間も空手に没頭している。

 19日は県外で広まり県内では取り組む選手がほぼいない糸東流の「ニーパイポ」と「パープーレン」を演武。観客なし、ビデオ2台で撮影される状況に「大会とは違う緊張感があった」と話すが、心の準備が整うと1回の演武で終わらせた。「今ある力を出せた」と吉報を待つ。

 全国183校から男子212人、女子166人が出場。1グループ8人を5人の審判が採点し選考する。1、2ラウンドを通過した上位16人が7月5日にホームページで発表される。