広島、長崎、国連からも初のメッセージ 沖縄全戦没者追悼式


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沖縄全戦没者追悼式にビデオメッセージを寄せた(上から)松井一実・広島市長、田上富久・長崎市長、国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長

 慰霊の日の23日、沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園で開かれた沖縄全戦没者追悼式には、原爆の被害を受けた広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長、国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長がビデオメッセージを寄せた。3人はいずれも戦争の悲惨さと戦争体験者が残した記憶継承の必要性を強く訴えた。国連、広島、長崎の代表が追悼式にメッセージを寄せるのは初めてで、恒久平和に向けて沖縄と連帯する第一歩となった。

 長崎の田上市長は、戦争体験者は「忘れたいという心の中のかさぶたを剥ぎ、心の中に血を流しながらつらい記憶を引き出している」と語り、その体験は「記憶を風化させてしまいがちな人間社会への警告」と指摘した。

 広島の松井市長は、戦後75年が経過し、戦争体験者が少なくなる中、「若い世代が中心となって平和を希求する心を引き継ぎ、恒久平和の実現に向けた取り組みの主役となることが重要だ」と強調した。

 中満氏は平和のための努力に「多くの若い人たちが積極的に参加してくださるよう呼び掛けたい」と提唱し「彼らは将来の地球を担い、世界に変革をもたらす究極の力だ」と訴えた。

 広島、長崎の両市長は当初、追悼式に出席する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で出席を取りやめビデオメッセージでの参加となった。

 玉城デニー知事は式典終了後、記者団に「(私たちが持っている思いをつないでいくには私も広島、長崎両市の平和式典に参加したい」と述べた。