【追悼式あいさつ】宮城篤正県遺族連合会長「行進中止は断腸の思い」


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 今年も「慰霊の日」が巡ってきた。戦没者諸霊は、沖縄戦および外地において、祖国の安泰を願い、家族を案じつつ、ついに尊い生命を祖国のためにささげられた。今、霊前に立ち、在りし日をしのび、諸霊に対する追慕の情は、さらに深く、新たなる痛恨の念が胸に迫ってくることを禁じ得ない。

 顧みれば、私たち戦没者遺族が歩んだ道程は、長く苦しい歳月だった。私たちは互いに扶(たす)け合い、励まし合いながら懸命に生き抜いてきた。皆さま方が最後まで案じられた我が国は、焦土の中から国民が一体となって立ち上がり、幾多の困難を乗り越えて、今日の平和と繁栄を築き上げた。この平和と繁栄は、皆さまの尊い礎の上に築かれたことを私たち日本国民は、決して忘れてはならない。

 私たち戦没者遺族は、英霊顕彰と平和運動を推進するため県内各地、全国から遺族の代表が参集し、南部の激戦地をみ霊のご冥福と世界恒久平和を祈願し、毎年平和祈願慰霊大行進を実施しているが、今年は、新型コロナウイルスの影響によりやむなく中止となり、断腸の思いだ。今後二度と「戦没者遺族を出さない」という強い信念をもって活動を続けていく。